2013 Fiscal Year Research-status Report
非火山性深部低周波微動の波動特性を利用したメカニズム解決定と微動発生機構の解明
Project/Area Number |
24540463
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
今西 和俊 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究グループ長 (70356517)
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Keywords | 非火山性深部低周波微動 / 波動特性 / 発震機構解 / 臨時地震観測 / 西南日本 / S波異方性 |
Research Abstract |
(1)臨時観測によるデータ蓄積:前年度に三重県松阪市および津市に4地点の臨時観測点を設置したが、その保守を行い良質なデータ蓄積を行った。今年度では、観測網直下で4月、7月、9月、1月に活動があり、それぞれ欠測無く捉えることができた。 (2)S波異方性解析:本研究ではS波の振動方向を使って深部微動の発震機構解を推定することを目指しているが、通常地震を使った予察的な解析を行ったところ、S波異方性の影響を無視できないことが明らかとなった。そこで、臨時観測網周辺の深部微動に対して異方性解析を行い、早いS 波の振動方向(LSPD)および早いS 波と遅いS 波の到着時間差(DT)の推定を行った。実際の解析においては観測波形に2-4 Hz のバンドパスフィルターを掛け、1 分のタイムウィンドウ毎にLSPDとDTを推定した。DT はどの観測点でも0.1秒ほどあり、震源放射に関係したS 波の振動方向を正しく求めるためには異方性の補正が必要であることを改めて確認した。推定されたLSPD はプレートの沈み込み方向にほぼ直交するものと平行するものの2 パターンが卓越しており、それぞれ明瞭な空間分布を示す。LSPDがSHmaxの方向を示しているとすると、LSPDの空間パターンからプレート境界の固着率を議論できる可能性がある。 (3)深部微動の発震機構解推定:S波異方性の影響を補正した振動方向を用いて微動の発震機構解推定を行った。2013年4月に臨時観測点周辺で発生した微動活動に適用したところ、北西側が低角で南東側が高角の節面を持つ解が多く確認できた。振動方向に180度の曖昧性があるため本手法のみではP軸とT軸を決めることができないが、周辺で起こっている超低周波地震の結果を考慮し、低角逆断層型とみなすのが妥当と判断した。また、推定誤差を考慮しても横ずれ成分を多く持つ微動も起こっていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨時観測期間中に観測網直下において複数回の深部微動を欠測無く捉える事ができており、本研究に必要なデータが着実に蓄積できている。今年度はS波異方性の補正を行い震源放射に関係したS 波の振動方向を正しく求めるための解析手順を確立させることができた。さらに、実際に深部微動の発震機構解の推定に繋げることもできた。以上の理由から、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は最終年度に当たるため、本課題で開発した解析手法を取り纏めるとともに、得られた知見を総合的に解釈し、微動の発生機構モデルを提案する。 臨時観測に関しては微動の活動状況を見ながら、3~4ヶ月おきにデータ回収と保守作業を行う。2月頃に撤収作業を計画している。 研究成果は日本地震学会、米国地球惑星科学連合等において発表するとともに、国際誌に取り纏める。
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Research Products
(1 results)