2014 Fiscal Year Annual Research Report
気象データを用いた葉面湿潤状態の推定手法の高度化と検証
Project/Area Number |
24540467
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 剛 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80220317)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 洋光 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター, 上席研究員 (30355276)
小林 隆 山形大学, 農学部, 准教授 (00355273)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 植生熱収支モデル / 葉面濡れ / 結露 / いもち病 / 湿度 / 下向き大気放射 / 将来予測 / 降水頻度 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに引き続き,植生熱収支モデル(2LM)による葉面湿潤度の推定のための入力データと検証データを得る目的で観測を実施した.測定項目は気温,風向風速,湿度,降水量,日射量,下向き長波放射量および結露センサーによる葉面湿潤情報である.観測地点は宮城県大崎市の古川,鹿島台,川渡の水田で,観測期間は6月から9月にかけてである.山間部に近い川渡では他の2地点に比べ気温が約1℃低く,日射量が約1割少なく,降水量が1割強多かった.古川と鹿島台は気象状態に大きな差はなかった.2LMに観測した気象データを適用したところ,葉の濡れ・乾きの状況を70~80%の割合で再現できた.観測では無降水日でも夜間の結露により葉が濡れる状況が頻繁に起きていたと見られるが,2LMはそれらを含めて良好に再現できることがわかった. 日本域における葉面湿潤度の将来予測について,昨年度使用したMIROC5にCCSM4, MRI-CGCM3を加え,3つの全球モデルによる出力を20 kmメッシュにダウンスケールしたデータを2LMに入力して評価した.2081-2100年の葉面湿潤度は,用いるデータにより空間パターンは異なるが,現在より減少する傾向であると予測された.主な原因は降水頻度の減少である.また,東日本域について,2LMにより推定された葉の濡れ日数と統計によるいもち病被害面積の関係式を作成し,MIROC5の出力により被害面積の将来予測を行った.その結果,被害面積は現在の7割程度に減少すること,特に東北地方太平洋側南部で減少率が大きいとみられることが示された. 将来予測については当初計画以上に進めることができた.一方,熱収支式の解析により,重要項目を抽出して,植生熱収支モデルと同様に湿潤状態を解析できる簡便な方法の考案については期間内に完了することはできなかった.
|