2014 Fiscal Year Annual Research Report
海洋深層における数ヶ月~数年周期の変動流の実態把握と原因の解明
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24540468
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤尾 伸三 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (00242173)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海洋深層流 / 長期測流 / 深層変動流 / 海溝 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋は地球の表面積の7割を占め、気候の維持や物質循環において重要な役割を果たす。その平均水深は4000m弱であるが、一般には深海には流れがほとんどなく、よどんでいると考えられがちである。しかし、実際には数cm/sの平均流があり、短期的には十数cm/sに達する。海面付近の流れの1/10程度であるが、深海の体積を考えると、両者は同程度の寄与を持つ。けれども、深海における流れ、特にその変動の実体は、観測の困難さゆえに、十分に解明されていない。 東北地方の太平洋沖で、日本海溝東斜面を含む3点で得られた2000日の長期測流データの解析をおこなった。数か月周期の変動は卓越するものの、期待される季節変動等は顕著ではなかった。また、1年間だけ測流を実施した北側の測線との相関を調べると、海溝に沿って北向きに位相の伝搬があり、海溝斜面に沿った地形性波動が示唆される。衛星高度計データでは東北沖を北に動く様子が見られるため、これと関連すると思われる。一方、西向きに伝播する惑星ロスビー波は明瞭には検出できなかった。 深層を対象とする単純化した数値シミュレーションを実施し、比較を行った。変動の周期はおおむね一致するが、位相は観測とは合わない。モデルの変動は海上風に起因するので、変動の原因が風であると特定できたが、伝播機構(成層構造)等、モデルが十分に再現できていないため、位相が合わないと考えられる。また、振幅はモデルは極めて小さく、粘性等の与え方に改善の余地がある。 複雑なモデルでの再現性を確認するため、海洋研究開発機構が運用している大規模なデータ同化モデルとの比較も行った。周期は合うが位相が合わない点は上記のモデルと同様であるが、振幅はよく再現されていた。今後、上記の深層モデルと詳細な比較を行う予定である。 係留系のデータ解析の結果を取りまとめて原著論文として投稿予定である。
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[Journal Article] Recent sediment dynamics in hadal trenches: Evidence for the influence of higher-frequency (tidal, near-inertial) fluid dynamics2014
Author(s)
Turnewitsch, R., Falahat S., Stehlikova, J., Oguri K., Glud, R. N, Middelboe, M., Kitazato H., Wenzhofer F., Ando K., Fujio S., and Yanagimoto D.
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Journal Title
Deep-Sea Research I
Volume: 90
Pages: 125-138
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Mesoscale variability of deep currents in the Northwest Pacific Basin2014
Author(s)
Miyamoto, M., Oka, E., Yanagimoto, D., Fujio, S., Kurogi, M., and Hasumi, H.
Organizer
American Geophysical Union, Fall Meeting
Place of Presentation
San Fransisco, U.S.A.
Year and Date
2014-12-15 – 2014-12-19