• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

気候モデルを用いた中間圏夜光雲の数値シミュレーションと気候変動に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24540469
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

高橋 正明  東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (70188051)

Keywords夜行雲 / 水蒸気 / 潮汐 / 化学スキーム / 放射スキーム / 5日波
Research Abstract

2年度目は、モデル改良を進めた。1つは、放射スキームコードの改良であり、これまでの18バンド放射スキームを化学スキームの導入に都合のよい32バンド放射スキームに変更する改良をおこなった。放射スキームの改良にともない、これまで仮想的な夏至の状況を設定して仮想夏至の平衡状態の数値実験をおこなっていたが、それに代わって、現実的に季節進行しつつある中での北半球夏至付近の夜光雲生成の問題を考察することにした。そのために時間積分が幾分か長くなり、また現実的な温度場や風場の再現のために、重力波のパラメータ値の設定実験を行った。結果的には昨年度の実験で確認した値を用いることで、昨年度得られた風と温度場がおおむね得られた。その結果を用いて雲の落下速度を10 cm/sとして、北半球夏の中間圏上層に存在している夜光雲をおおむね再現した。今回の結果も、夜光雲の出現する高度が82km-90kmと観測と比較して下端は現実的であるが上端が幾分か高かった。夜光雲変動を規定している波動の解析をおこない、成層圏中間圏の東風の中で伝播しやすい東向き重力波とその減速効果を確認し、さらにその場で生成されたと思われる潮汐振動や自由振動と考えられている5日波に伴って変動しており、現実的な夜光雲変動が得られた。
さらに、これまでのモデルでは観測結果を基にした水蒸気分布に戻すような水蒸気をあたえていたが、そのモデルを改良しメタン酸化からの水蒸気生成の化学過程を導入することで水蒸気再現を試みた。水蒸気の量はまだ少ない結果だが大枠の分布を再現し、さらにその水蒸気を用いて夜光雲を生成させるプロセスを導入することで、鉛直高度幅が2-3km(高度82-85km)である、より現実的な夜光雲の変動が得られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

時間発展的な雲スキームを使わなくても、おおむね計画にしたがった発展が見られた。それは化学スキームを現実的にすることで、ほぼ観測される夜光雲高度の鉛直高度幅(2-3km)の結果から伺うことができ、また季節進行の中で北半球の夏至の状況において現実的な夜光雲が再現されたことで示される。それは放射スキームバンドの改良、さらに化学スキームの改良をとおした、CH4からOHなどの反応を通した水蒸気生成の化学スキームモジュールのためと思われる。モデル結果は現実的であり、夜光雲生成の高度幅、さらに温度などの大気変動はその高度で考えられている重力波による変動が大きく寄与している。これは中層大気の中の東風の中での東方向にすすむ重力波に伴う夜光雲変動となっており現実的である。時間的に早い変動なのでこれまでほとんど観測解析で確認されていない為、興味ある研究成果と思われる。また潮汐や5日波などの変動も重なって変動しており、衛星観測などと整合的である。ただ、水蒸気量がいくぶん少ない。より長い期間の数値実験が必要であると思われるが、これは次年度の計画とあいまって、実行される予定である。

Strategy for Future Research Activity

新規に作成された化学モデルでは、CH4などの化学物質は理論値を基に単独に与えられており、輸送とは相互作用をしていないということがモデル的には完全ではない。この改良をまず進め、輸送過程と相互作用をした化学モデルにすることが必要であろう。そのモデルをもとにして、最終年度はこれまでのモデルおよび解析的研究をすすめ、化学スキームの改良とともに、両半球の夜光雲生成の違いや、太陽強度変動に伴う太陽放射11年変動に対応させた、放射が強いときと弱いときの計算をおこなう。それをとおして、太陽11年変動の大気への影響が考察されることになる。これで、夜光雲変動の気候の影響に関して、太陽放射の変動の効果がどの程度あるかが分かることになる。さらに時間的に可能ならば、海洋などの気候変化に加えて太陽放射を長期に変動させることで、数値モデルの長期積分をおこない、下層大気の影響を含んだ気候変動の問題を考察したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

25年度の研究計画はおおむね達成されたと言えるが、大量の計算結果の解析などに当初の予定よりも時間がかかってしまった。その為、予定していた学会報告にまで至らず、学会参加の為の旅費として予定していた分が残ってしまったので、その分を次年度に繰り越す。
25年度に達成できなかった学会報告を予定している為、その旅費に充当させる計画である。また26年度は最終年度であり、大量のデータが出力されるので、そのバックアップのために大容量ハードディスクの購入やデータ解析を依頼する学生の謝金等も必要になる為、その一部にも充当させる計画である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Connections between the stratospheric quasi-biennial oscillation and tropospheric circulation over Asia in northern autumn2013

    • Author(s)
      Makoto Inoue and Masaaki Takahashi
    • Journal Title

      Journal of Geophysical Research Atmospheres

      Volume: 118 Pages: 1~14

    • DOI

      doi:10.1002/jgrd.50827

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Hourly radiosonde observation of humidity and temperature and high resolution vertical wind using the Equatorial Atmosphere Radar during convection over Koto Tabang, Indonesia in CPEA-II campaign2013

    • Author(s)
      R. Bhatnagar, V. Panwar, Y Shibagaki, H. Hashiguchi, S. Fukao, T. Kozu, M. Takahashi, and S. K. Dhaka
    • Journal Title

      Indian Journal of Radio and Space Physics

      Volume: 42 Pages: 277~291

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 成層圏QBOの南半球大気へのテレコネクションに見出された長期変動2013

    • Author(s)
      山下 陽介、直江 寛明、高橋 正明
    • Organizer
      日本気象学会 2013年度秋季大会
    • Place of Presentation
      仙台国際センター
    • Year and Date
      20131121-20131121
  • [Presentation] 大気大循環モデルでシミュレートされる重力波運動量フラックスの鉛直解像度依存性2013

    • Author(s)
      渡辺 真吾、佐藤 薫、河谷 芳雄、高橋 正明
    • Organizer
      日本気象学会 2013年度秋季大会
    • Place of Presentation
      仙台国際センター
    • Year and Date
      20131121-20131121
  • [Presentation] Development of stratospheric QBO research2013

    • Author(s)
      Takahashi, M.
    • Organizer
      Tenth International Seminar on Climate System and Climate Change
    • Place of Presentation
      CMA Conference Center
    • Year and Date
      20130716-20130716
    • Invited
  • [Presentation] CCSR/NIES CCM simulations for 11-year solar cycle and QBO effects on the Northern Hemisphere extratropical winter circulation2013

    • Author(s)
      Yamashita, Y., H. Akiyoshi, and M. Takahashi
    • Organizer
      Davos Atmosphere and Cryosphere Assembly DACA-13
    • Place of Presentation
      Davos, Switzerland
    • Year and Date
      20130708-20130712

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi