2014 Fiscal Year Annual Research Report
温室効果ガスの増加による成層圏の寒冷化に関する理論的研究
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24540471
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神沢 博 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20150047)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 温室効果ガス / 長波放射 / 射出率 / 閾値 / 成層圏の冷却 |
Outline of Annual Research Achievements |
温室効果ガスの増加などによる大気の長波放射に対する吸収率の減少、したがって大気による長波放射の射出率の増加が、大気層に加熱効果をもたらすか冷却効果をもたらすかのどちらかを決める閾値が射出率に存在することを、放射平衡で拘束した簡単な二層大気モデルを用いて示し、特に、成層圏の冷却に焦点を当てた研究を行った。この研究結果を整理した内容を、査読付き英文雑誌に投稿すべく、投稿原稿を完成に近づけた。さらに、長波の射出率の閾値をもたらす二酸化炭素の濃度はどの程度かの検討を行い、その内容を、査読付き英文雑誌に投稿すべく、投稿原稿のドラフトの作成を開始した。 上記の結果からわかることは、温室効果ガスの濃度(現在の射出率)が、現在の濃度の状態から増加(射出率が増加)すれば、成層圏の温度は現在より低い状態(成層圏の冷却)となる。一方、温室効果ガスの濃度(射出率)が、ある閾値より高い状態から増加(射出率が増加)すれば、成層圏の温度は元の値より高い状態(成層圏の昇温)となる。このような温室効果ガスの濃度(射出率)の閾値がある。 さらに、成層圏のような鉛直温度構造を形成するための大気の不透明度の鉛直構造の条件を整理し、「大気の不透明度の増加による温暖化と寒冷化の境界が、どの高度にあり、それを決める不透明度の条件は何か」という問題に取り組んだ。
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