2013 Fiscal Year Research-status Report
点渦モデルを用いた一般化された2次元流体系における渦運動の研究
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24540472
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩山 隆寛 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10284598)
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Keywords | 2次元乱流 / 一般化された2次元流体 / 赤外領域スペクトル |
Research Abstract |
一般化された2次元流体の乱流状態(α乱流)において,低波数側(赤外領域)に形成されるスペクトルの理論的・数値実験的研究を行った.過去の研究によると,一般化された2次元流体のメンバーであるNavier-Stokes方程式やCharney-Hasegawa-Mima方程式の漸近モデルでは赤外領域のスペクトルは研究されてきたが,一般化された2次元流体に対してはまだ研究が行われてこなかった.赤外領域のスペクトルは,系の保存則の存在とも関係しているという点で重要である. EDQNM完結近似方程式を用いて,赤外領域の一般化エンストロフィースペクトルは,急峻な初期スペクトルからの発展ではαの値に依存せず,波数の5乗に比例すること,波数の1乗,3乗の初期スペクトルからの発展では,過渡的にそれらのスペクトル形状は保たれるが, 5乗のスペクトルに侵食されることを導いた.これら性質は,一般化渦度の相関関数の積分,一般化渦度の相関関数の2次のモーメントの2つの保存量が存在することに関係する.後者の量はNavier-Stokes系におけるSaffman積分の一般化2次元流体版である. 上記の結果は,詳細な数値実験の結果を解析することによって,正当であることを確認した.さらに数値実験において,α=1の場合にスペクトルの時間発展が全波数領域で自己相似的になるReynolds数を見出した.これは,Chasnov(1997)によって見出された臨界Reynolds数の表面準地衡流版である. 以上の結果は,Physics of Fluid vol. 26 (2014), 025105 (29 pages)に印刷公表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に一般化された2次元流体系の平行流の安定性を,点渦列の安定性問題として定式化して解いた.さらに,今年度,渦運動の指標であるエンストロフィースペクトルに関する普遍性と不変量を導いた.以上の成果から一般化された2次元流体の渦運動に関して理解の大きな進展があった.
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Strategy for Future Research Activity |
赤外領域スペクトルの研究から,一般化された2次元流体の渦粘性に対して興味深い性質が示唆されている.また,全領域でスペクトルが自己相似発展する臨界Reynolds数が,Navier-Stokes方程式系だけでなく,一般化された2次元流体の他のメンバーでも見出された.このことから,渦粘性や臨界Reynolds数に関して,理論的解析と数値実験を組み合わせた研究を計画している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度当初に開催されると思われていた理論応用力学講演会が,隔年開催となり,2013年度には開催されなくなった.その講演会に参加,研究発表するための旅費,原稿整理料金の支出がなくなったために剰余が生じた. 今年度は,剰余分はその研究集会への出張旅費,原稿整理料で使用す予定である.
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Research Products
(8 results)