2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気圏尾部ダイナミクスに対するプラズマ波動のエネルギー散逸への寄与の評価
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24540483
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
篠原 育 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (20301723)
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Keywords | 磁気リコネクション / 磁場散逸 / 電子加熱 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,磁気圏尾部のプラズマ波動と磁気圏尾部のダイナミクスの関連を調べることによって,プラズマ波動によるエネルギー散逸効果が磁気圏尾部のダイナミクスにどのようにカップルしているのかを明らかにすることである. 平成25年度も,昨年度に引き続いた磁気リコネクション領域におけるプラズマ波動の解析を行った結果,以下のことが明らかになった. 電子とイオンの速度分布関数の特徴により,リコネクション領域は4種類にわけられるが,特に電子とイオンの運動が分離している領域では,電子は特徴的なフラットトップ速度分布を示す特徴を持つ.昨年度の解析で明らかになったように,この領域では強い低周波の静電波動が共通して観測され,リコネクション下流領域の高速電子流の散逸との関係が強く示唆されていた.高速電子流からフラットトップ分布への変化は,変形2流体不安定によって生成できる可能性が衝撃波遷移層での議論などから指摘されているが,静電波領域と電子フラットトップが一致することから,同じ分岐のプラズマ不安定による物理過程が発生している可能性について,数値シミュレーションからの検証を進めている. 一方,ダイポーラリゼーション・フロントにおける散逸については,THEMIS衛星とGEOTAIL衛星のデータ解析から次のようなことがわかった.THEMIS,Geotail衛星等,8つの衛星が磁気圏尾部に並ぶ同時観測機会に得られたデータから,リコネクションによって発生する流れの最前面に形成されるダイポーラリゼーション・フロントにおける領域には,非常に薄い電流層が形成され,その内で磁場エネルギーがプラズマエネルギーに変換されていることが明らかになった.この散逸過程の詳細についてTHEMISの波動データから直接的に検証できるかどうか,検討を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の報告書に記載したように,平成25年度は当初の予定を修正して,引き続き磁気リコネクション領域の3次元構造の中におけるプラズマ波動の役割を評価し,リコネクション領域の中心部から朝夕方向にはなれるほど,運動論的効果が弱くなることに対応してプラズマ波動のアクティビティーが対応して弱くなること,等を明らかにできた.また,当初の計画通りにダイポーラリゼーション・フロントにおける散逸に関連する研究にも着手している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果から,磁気圏尾部内におけるリコネクション領域の3次元構造が明らかになってきたことで,プラズマ波動のアクティビティーの空間分布にこれまで想定していた以上に,リコネクション領域の空間構造との対応がとれそうなことが明らかになっていた.平成25年度の研究結果として,リコネクション領域全体の中にプラズマ波動のアクティビティーが明確になってきたことから,最終年度では,磁気リコネクション,ダイポーラリゼーション・フロントを共に具体的なプラズマ素過程として数値シミュレーションから定量的な磁場散逸量を評価することを進めたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品購入で予定していたHDDが,年度中に全額購入する必要がなくなったため,予定より購入金額が低くなった.次年度に,より容量単価の安価なHDDを購入することとしたい. 当初予定していた3TB/台のHDDではなく,4TB/台のHDDの購入をする予定.
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Research Products
(6 results)