2012 Fiscal Year Research-status Report
深海底炭素固定量の現場観測と深海生態系への貢献度のモデル統合
Project/Area Number |
24540504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
野牧 秀隆 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (90435834)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 深海生態系 / 物質循環 / 炭酸固定 / 現場培養実験 / 同位体トレーサー |
Research Abstract |
地球の表面積の半分以上は深海底であり、深海底の海水-堆積物間の挙動は全球の物質循環に非常に重要な役割を果たしている。従来、深海底では光合成由来の沈降有機物が唯一のエネルギー源であると思われてきたが、通常の深海底でも独立栄養細菌による化学合成が行われている可能性が示唆されている。本研究では、「光合成に依存していると考えられていた深海生態系に、はたして化学合成の貢献はどの程度あるのか」を、さまざまな環境の深海底で炭酸固定量を現場測定することで明らかにする。 本年度は、現場培養実験において使用する予定の培養装置を、コア型の、物質の収支を解明する目的に特化した培養装置と、開放型の、現場の環境を維持して培養することに特化した培養装置の2種類の製作を行い、25年度9月および11月に行われる航海の準備を行った。また、これまでに行った現場固定量測定実験試料の、間隙水の栄養塩濃度の分析や、堆積物中の微生物相の解析を進め、海底での炭酸固定量がどのような環境要因や生物相と関連があるのかを検討した。これらの結果について、2012年12月に行われた13th Deep-Sea Biology Symposiumで報告するとともに、諸分野の若手研究者に声をかけて共同研究の計画を進め、25年度、26年度の研究計画を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養装置の作成などは終了し、25年度の航海に向けての準備は順調に進んでいる。また、研究協力者との協議も同時に進め、実験計画も固まりつつある。微生物相、機能遺伝子の解析についても徐々に軌道に乗りつつあり、これまでの試料の解析を進めることで、炭酸固定量と微生物相との間の関係についても知見が深まっていくと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、9月及び11月に太平洋深海平原の調査航海が行われる予定であり、その際に行う現場培養実験が今年度の研究の中心となる。実験計画の策定を進めるとともに、航海で必要になる消耗品、試薬などを準備する。また、それら航海で得られる試料と、これまでに行った実験試料の微生物相、機能遺伝子解析を進める。解析にあたっては、全試料を行う余裕はないため、特に炭酸固定量の高かった堆積物深度や、栄養塩濃度の特徴的な堆積物深度にあたりをつけ、傾向を捉えた後に全体にフォーカスしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の航海日程が、年度当初に見込んでいた期間より長く、また入出港の場所が当初の見込みと異なったため、外国旅費が多く見込まれることとなった。そのため、航海に参加するための旅費(協力研究者も含む)を確保するため、24年度の支出予定の一部を変更し、25年度の旅費としての使用を予定している。また、航海消耗品などへの支出も予定している。
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