2012 Fiscal Year Research-status Report
岩石の脱水・溶融に伴う電気伝導度変化メカニズムの解明
Project/Area Number |
24540512
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤田 清士 佐賀大学, 国際交流推進センター, 教授 (00283862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 穣隆 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00252825)
芳野 極 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (30423338)
市來 雅啓 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80359182)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電気伝導度 / 脱水 / 含水岩石 / 溶融 |
Research Abstract |
平成24年度は、これまでの研究からさらに一歩踏み込み、閉じた系に含水岩石を封入し、脱水させた際の電気伝導度測定結果と岩石が溶融した際の電気伝導度変化を比較した。従前に収得した無水岩石・無水鉱物の電気伝導度と対比から、脱水量や脱水した流体の塩濃度だけでなく溶融の度合いまで見積もる事を計画した。地球内部の水・流体及び溶融に関しては、未解明な事が多く、これまで申請者等が行ってきた研究の連結により、定量的な解釈が発展する。同時に、脱水・溶融実験から得られたデータをもとに、地球内部の脱水・溶融過程を電気伝導度からモデル化する事にも挑戦した(一部の成果については、Fuji-ta et al. Submitted to Journal of Apllied Geophysics)。 本年度の重要な成果の1つは、溶融岩石の電気伝導度測定を室内実験において遂行可能にした事である。流紋岩試料を単結晶材料に入れ、高温・高圧下での電気伝導度測定が実現した。この試料の含水率は実験前後でFT-IRにて評価しており、現在、データを精査している。予察的な結果より、岩石の溶融によるわずかな電気伝導度変化が確認された。 本年度のもう1つの成果は計算機シュミレーションによる含水岩石及び溶融岩石内の電気伝導メカニズムの解明である。計算機解析から、岩石内で流体や溶融が、ある比率を超えると電気伝導度が増加する事が見出された。電気伝導度測定の実験手法と電気伝導メカニズムの解明が進展すれば、地球内部に関する研究が飛躍的に進歩する。今後の研究で、地球内部構造研究に新たなる研究分野を切り開く事になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従前に開発した含水鉱物の電気伝導度を測定する実験手法は、溶融火山岩を電気伝導度から捉える実験にも応用する事ができた。効率良く実験を遂行するため、化学組成の明確なニュージーランドのタウポ火山から流紋岩を採取した。流紋岩試料を粉砕し、定量化された水を加え、上部地殻の温度・圧力条件でピストンシリンダーで合成した。合成試料はマルチアンビルで加圧し、グラファイトヒーターで加熱を行いながら電気伝導度を測定した。その結果、岩石の溶融によるわずかな電気伝導度変化が確認された。 一方、岩石内で脱水した“液相+固相”及び“溶融”の状態を計算機シュミレーションした。 初年度は2つの異なるアプローチから岩石内部の電気伝導メカニズムを解明することに成功している為、計画はほぼ達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
純粋な導体である金属材料や半導体の単結晶と異なり,多結晶の岩石・鉱物・流体の電気伝導度測定の場合はいかに絶縁し、試料を封入するかの技術を開発しなくてはいけない。本年度は単結晶を用いた試料封入ケースの開発はほぼ終了している。平成25年度は、さらなる、試料選定や鉱物分析を奈良教育大学と行う予定である。 高圧実験のための設計・試作等は岡山大学地球物質科学研究センターにおいて行う予定である。流体・溶融の状態方程式による見積もりは東北大学で行う予定である。 平成25年度の実験成果は国際会議・米国地球物理学会等でも発表する予定である。一般国民に対しては地球惑星科学連合などのアウトリーチ活動で広報してゆく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は本実験及びデータ解析期間を必要とする。高圧実験を行うための消耗品費及び実験・打ち合わせ旅費ならびに国際会議における成果報告のための外国旅費が主たる出費項目となっている。 平成24年度(初年度)に十分遂行できなかったは試料ケースの改良は試行錯誤しながら行う。消耗品の金額が多くなったのは、試料を封入する単結晶材料が高価であることと、高い加工精度が必要なため業者依頼の費用が必要となった。国内旅費は研究打ち合わせと共同利用施設への往復旅費を申請した。
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Research Products
(3 results)