2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540514
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山下 茂 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (30260665)
|
Keywords | マグマ / 流体 / 高温高圧実験 |
Research Abstract |
モアッサナイトアンビルセル装置を製作し、純水と固体酸素雰囲気バッファーだけを試料に用いた予備実験を行った。装置の製作では、既存のダイヤモンドアンビルセル装置のアンビル部分を独自デザインのモアッサナイトアンビルに置き換えるとともに、熱電対を1000℃以上に適する起電力特性のものに取り替える、電気絶縁を耐熱性の優れたものに取り替える、装置筐体に大容量金属ヒートシンクを取り付ける工夫も行った。この装置で、最高1200℃までの温度条件で安定に加熱・冷却制御が行えることを確かめた。このあいだモアッサナイトアンビルの表面は清澄でエッチングも見られず、心配していたモアッサナイトの酸化・分解は還元雰囲気ガス(Ar-5%H2混合ガス)を周囲に流す、還元的な固体酸素雰囲気バッファーを使う(試料室内でMo-MoO2を共存させる=金属鉄と酸化鉄が平衡にある酸化還元状態に相当)ことで回避できる見通しを得た。他方、加圧しながら加熱する条件では、300MPaの静水圧でモアッサナイトアンビルが破壊し、予定していた高温かつ高圧の条件の実験に進むことができなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モアッサナイトアンビルが予想外に低い圧力でも破壊する新たな問題に直面している。モアッサナイトアンビルを潤沢に購入していなかったために十分の試行錯誤を行うことができず、問題の解決にいたっていないのが現状である。この点を反省し、次年度の計画に生かしたい。ただし、十分の時間的余裕をみて当初の研究計画を策定してあったので、研究計画の大筋を変更する必要は感じていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
モアッサナイトアンビルが予想外に低い圧力でも破壊することへの対策をたてる。具体的には、アンビル形状の見直しとアンビル材料供給元の見直しを、アンビル製作メーカーと相談しながら早急に進める。十分な試行錯誤を行えるようモアッサナイトアンビルを潤沢に購入し、上限となる圧力条件の把握に努める。他方、1000~1200℃において圧力200MPa程度までの比較的に低圧・高温条件の予備実験を繰り返して行い、装置の安定的な稼働を検証する。そのうえで、天然マグマ物質を試料に用いる本実験を、安定した実験のできる圧力・温度範囲に注意しながら行い、従来型急冷回収法に対する高温高圧その場観察実験法の優位性を評価する。
|