2012 Fiscal Year Research-status Report
球面収差補正電顕を用いたナノ鉱物の原子状態精密解析と核種移行挙動の解明
Project/Area Number |
24540516
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宇都宮 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452792)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アメリカ |
Research Abstract |
地球表層に普遍的に存在するナノ鉱物、「コロイド」は、低溶解度の有害金属を吸着・取り込んで遠隔へ拡散させる要因の一つであり、その性質、挙動を正確に理解する必要がある。本研究は、①遷移金属酸化物ナノ粒子(鉄酸化物ナノ粒子)と非組成元素(d、fブロック元素)の相互作用、サブÅ電子プローブを用いた共沈生成ナノ粒子の原子状態解析による特性評価、②模擬堆積物カラムを用いて地球化学的パラメータ制御されたナノ粒子通過実験を行い、コロイド(+核種)の移行挙動特性を定量化、さらに③ナノ鉱物粒子の性質、移行特性を組み込んだコロイドを媒介とした一次元核種移行モデルの再構築を目的としている。 これまでに、-7 nmと-40 nmのヘマタイトナノ粒子サイズ制御合成法を確立し、その比表面積、ゼータポテンシャル、形状、構造、という基本物理特性を測定し、fブロック元素の中で、アクチナイド元素の代替元素、また核分裂核種の安定同位体元素になっているランタノイド系列LaからLuの吸着実験を行った。7 nm の分配傾向において、上に凸のテトラド効果が含まれており、セリウムの正の異常が見られた。分配傾向は、生成物と反応物のテトラド効果の大きさの違いが反映される。テトラド効果はf 電子の電子反発によって生成しており、この電子反発は共有結合性の結合を作り電子雲を拡大することによって小さくなる。そのため、REE は水和状態よりも共有結合的にヘマタイトに吸着していることが示唆された。REEパターンからは軽・中希土類での優先的な吸着がおこり、さらに10 nm 以下の粒径の粒子では、軽・中希土類の優先的な吸着が40 nm よりも1.10-1.23 倍大きくなることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにサイズ制御ナノ粒子合成法の確立、吸着実験まで終えることができ、そのデータに対する解釈もある程度レベルまで達成することができた。電子顕微鏡の適用に関しては予定通り行ってきているが、合成されたナノ粒子の安定性が不十分であるため単原子像観察までいっていない。しかしながら、ナノ粒子の基礎物理化学的特性、TEM観察まで達成しているので、本年度の目標はおおむね達成していると考えられる。論文掲載も順調に行ってきていることから、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進に関しては、実験計画通りに行う予定である。これまでに得られたナノ粒子の基礎物性評価・吸着実験結果に基づき、追加の吸着実験、脱着実験、そして共沈実験を進める。球面収差補正透過電子顕微鏡を用いた原子レベル観察も引き続き行うが、それに加えてナノ粒子間の反応特性をその場TEM観察で行うシステムを考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(13 results)
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[Book] Advances in Nuclear Fuel2012
Author(s)
H. Iwata, H. Shiotsu, M. Kaneko, & S. Utsunomiya
Total Pages
19
Publisher
Nuclear accidents in Fukushima, Japan and exploration of effective decontaminant for the 137Cs-contaminated soils