2014 Fiscal Year Annual Research Report
球面収差補正電顕を用いたナノ鉱物の原子状態精密解析と核種移行挙動の解明
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24540516
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宇都宮 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452792)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境ナノ粒子 / 微生物相互作用 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、地球表層に普遍的に存在する鉱物ナノ粒子の特性を理解するために、最先端の高分解能電子顕微鏡を用いて原子スケールでナノ粒子の分析をおこなった。電子顕微鏡はダブル球面収差補正走査透過型電子顕微鏡を用いてプローブサイズは1ナノメートル以下のものを使った。 研究期間全体では無機的に合成した鉄酸化物、市販のCeO2ナノ粒子の表面をSTEM点分析し、CeO2ナノ粒子の表面は3価が存在することを明らかにした。無機的な合成のみならず、微生物が生成する希土類リン酸塩ナノ粒子などbiogenicなナノ粒子特性を顕微解析、他のバルク分析から明らかにした。 一方で天然環境中でナノ粒子と微生物が相互に関係していることを考慮し、ナノ粒子が微生物に与える影響を調べたところ、ナノ粒子存在下では放出有機物の変化が見られるとともに、微生物内部でEno2pの発現がみられたことから、ナノ粒子は微生物の代謝へ影響を与えていることが分かった。さらに微生物放出物は表面電位を中性付近に変化させるにもかかわらず凝集挙動が抑制された。これは放出有機物がナノ粒子表面に吸着することによって形成される立体斥力によるものと考えられた。 本研究課題の遂行によって無機ナノ結晶が微生物と関わりながら表層環境中で果たしている役割について重要な過程が解明された。
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Research Products
(3 results)