2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540519
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
篠田 圭司 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40221296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 康浩 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (00303917)
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Keywords | メスバウアー分光 / 顕微分光 |
Research Abstract |
前年度(平成24年度)製作したマルチキャピラリーX線レンズ(MCX)を用いて顕微メスバウアー分光器に自動マッピングステージ(最小ステップ幅1μm)を追加し、以下のような改良を加えた。本顕微メスバウアー分光器を用いて鉱物のメスバウアースペクトルを測定する際にはMCXによるガンマ線集光位置を正確に確定しその焦点位置に測定試料を持ちきたす必要がある。ガンマ線集光位置を確定させるには直径500μmのピンホールをMCX焦点距離において二次元走査しガンマ線強度最大となるピンホール位置を求める必要がある。前年度はこの二次元走査を手動微動ステージを用いて行っていたが、手動による走査測定には、測定時間と測定点数に労力の点から限界がある。本分光器製作の過程でこの作業はビーム評価とスペクトル測定において重要な作業であることがわかったので、今年度(25年度)は自動マッピングステージを導入してパソコンと連動させることで、手動では出来なかった長時間、多測定点測定を可能にした。 今年度導入した自動マッピングステージを用いて、ピンホール(530,350、290μmφ)とタングステンエッジを用いてビーム形状と半値幅を測定したところ、14.4keVのガンマ線半値幅は約400μm、ビーム形状は同心円状の強度分布を持つ等方的な良質な焦点であることがわかった。しかしエッジ走査により得た半値幅400μmと前年度測定した二次元検出器による半値幅150μmの間にはい大きな差があり、最終的な半値幅確定には至っていない。この差の原因としてエッジ走査で用いた検出器がエネルギー分解のあまり良くない比例計数管であったため、ピークのバックグラウンドがピーク強度評価に影響して半値幅が大きく見積もられた可能性と、二次元検出器測定では17keVのエックス線を用いたため、エネルギー差により半値幅が小さく出た可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ビーム径評価のために自動マッピングステージを導入し、エッジ走査によるビーム半値幅評価の確定法は確立できたが、検出器のエネルギー分解不足と考えられる要因からビーム径半値幅の確定までは至らなかった。しかし、本顕微メスバウアー分光器を用いて黒雲母のメスバウアースペクトル測定が可能であることは確認した。本器を用いて多数の黒雲母の測定を予定していたが、本器設置場所で測定実験室のある、京都大学原子炉実験所トレーサー棟の改修工事(2013年12月から2014年6月予定)のため測定が出来ず、多くのデータ収集は出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
エネルギー分解能の高いSi-PIN半導体検出器を購入し、本分光計に組み入れスペクトル測定を試みる予定である。半導体検出器で測定したビーム径半値幅(スポット径)と比例検出器で測定したそれと比較しスポット径を検討する。また、前年度終了時点では、MCXを用いたときの集光ビーム強度と、MCXをもちいない場合の同等程度のピンホール使用時のガンマ線強度を比較した場合、MCXを用いた方がビーム強度は数倍上がるものの(いわゆるゲインが数倍である)、MCXを用いることによる大きな利得はなかった。半導体検出器は受光面が小さいため従来のメスバウアー分光に用いられてこなかったが、顕微メスバウアー分光の場合はガンマ線が1ミリφ弱にしぼられるため、受光面の小さい半導体検出器が有効な検出器として働くことが考えられる。メスバウアースペクトル測定の際の検出器として、比例計数管と半導体検出器を比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度(24年度)に360000円の未使用額は発生し、それを今年度(25年度)に繰り越したことと、当初の予定になかった自動マッピングステージを購入したことにより、当該の次年度使用額が発生した。 半導体検出器関連部費の購入の補助に充てる。
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Research Products
(2 results)