2012 Fiscal Year Research-status Report
グラフィックスプロセッサを用いた磁気回転不安定性の非線形シミュレーション
Project/Area Number |
24540533
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
龍野 智哉 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (60313011)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プラズマ物理 / 高速計算 / グラフィックスプロセッサ |
Research Abstract |
本研究の予備実験として、磁化プラズマにおける2次元静電乱流の運動論的な解析を行った。2次元配位では2つの無衝突保存量が存在するが、それらが互いに逆方向にスケール間を移動する、双カスケードが起こる。自由減衰乱流の大規模数値シミュレーションを行ったところ、これらの量は時間について代数的に減衰するが、これは2つの量のカスケードによってうまく説明できることを示し、論文にまとめた。 運動論コードでは、粒子の速度分布関数を速度空間について積分することから、密度や電流などの場の量が求まるため、速度空間積分に対応する総和計算を繰り返し行う必要がある。この総和計算は、多数の数から一つの数を導き出すという、原理的に並列化が困難な計算であり、並列計算においてもよく取り上げられる操作である。この計算について、グラフィックスプロセッサに適したアルゴリズムを検討し、実装した。 NVIDIA が開発したグラフィックスプロセッサ用のプログラミング言語 CUDA は、それだけでは複数マシンにまたがる並列計算をサポートしない。したがって、この目的に合致した、Message Passing Interface (MPI) などのマシン間の通信を利用するには、MPI に対応した他の言語との混在プログラミングが求められる。本研究では、並列プログラミングには c++ を使用し、CUDA との混在プログラミングが可能であることを実証した。 また、磁気回転不安定性で用いられる剪断的境界条件を、擬スペクトル法で実現するアルゴリズムを考案し、実装した。大雑把に言えば、Kelvin 卿が19世紀に用いた、剪断流の系に乗った座標系で非線形計算を行い、引き伸ばしが系の長さに達したところで離散的な座標変換をする、というものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画には、離散化手法、衝突作用素の決定、境界条件の実装を初年度の計画として挙げていたが、衝突作用素についての検討が終わっていない。それは、研究実績の項に記した総和計算についての検討を行ったからである。研究立案時には、そのような検討が必要なことに気づかなかった。それ以外は比較的順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは衝突作用素の検討を行い、引き続き当初の計画通りコード開発を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NVIDIA から新しいカードが秋に発売され、その評価を待ってから導入機種を決定するため、初年度は共同研究先である、米国メリーランド大学の古いマシンを用いて研究を行った。そのため初年度に使用予定であった計算機の購入代金を次年度に繰り越し、あらためて機種選定を行うこととした。したがって、次年度に計算機の購入を行う予定である。 その他の物品や旅費については、おおむね当初の予定通りである。
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