2013 Fiscal Year Research-status Report
次世代省エネデバイス用半導体への高強度パルス重イオンビーム利用イオン注入法の検証
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24540534
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊藤 弘昭 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (70302445)
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Keywords | パルス重イオンビーム / パルス電力技術 / 両極性パルス加速器 / 真空アークプラズマガン / 細線放電イオン源 |
Research Abstract |
省エネルギーデバイスとして期待されている炭化ケイ素半導体材料に対して、高温アニールを必要とせずにイオン注入と同時にアニール処理を同時に行えるパルスイオン注入の実証実験を行うためには、n型・p型ドーパントの機能を有するイオン種の高純度大電流パルス重イオンビームが必要である。昨年度までにn型ドーパント用の窒素イオンビーム発生技術である両極性パルス加速器の高出力化を行った。 まず、今年度はパルス窒素イオンビームを用いてガラス基板上のアモルファスシリコン薄膜に照射した結果、アモルファス薄膜が多結晶化しており、パルスイオンビームによる照射効果を評価し、現在シリコン単結晶基板への照射実験を行っているところである。また、ビーム照射時のシリコン表面の温度上昇を推定するため、カロリーメータによる付与エネルギー密度の計測を行った。これらの実験と平行してp型ドーパントとして機能するパルス金属イオンビーム発生技術の高度化に向けて、真空アーク放電を利用した同軸プラズマガンイオン源、および細線放電イオン源に対して電極形状や放電条件による特性を評価し、最適化を行った。その後、イオンビーム発生用電源に組み込んで昨年度使用したファラデーカップやトムソンパラボラ分析器でイオン種、エネルギー、ビーム純度、イオンビームの空間均一性や再現性の評価を行った。これらの結果、従来の性能に比べてイオンビームの特性は向上したが、ビーム純度が不十分であった。このため、今後はビーム純度を向上させる技術である両極性パルス加速技術をp型ドーパント用イオンビーム源に対しても適用する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p型ドーパント用のイオンビーム発生技術の確立はまだ達成できていないが、これまで開発した技術を利用すれば、この問題点も解決できると考えられる。また、開発したn型ドーパント用の高強度パルス窒素イオンビームを用いて照射実験を行っている状況にあり、パルスイオンビームによる照射効果も確認することができ、さらに基礎となるシリコンへの照射実験を行っている段階であり、今後の炭化ケイ素試料へのビーム照射実験に向けて準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、p型ドーパント用のイオンビーム発生技術に対しては、早急にビーム純度向上のため装置の改良を行い、パルスイオンビームの特性評価を行う予定である。また、パルスイオン注入の実証実験においては、ほぼ確立されたn型ドーパント用の高強度パルス窒素イオンビームを用いてシリコンへや炭化ケイ素試料に照射実験を行い、ビーム照射前後の試料評価を行ってパルスイオン注入法の有用性を検証する計画である。これまでの研究を総括し、パルスイオン注入法の実用化に向けた知見を得るとともに半導体プロセスへの導入の可能性とその問題点について評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が概ね順調に進んだため、代替案として考えていた物品を購入せずに済んだため。 必要な消耗品(電極材料やターゲット材料など)の購入や研究成果発表の旅費に充てる予定である。
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Research Products
(12 results)