2014 Fiscal Year Annual Research Report
ACトラップされた大容量複合帯電微粒子による強結合プラズマ物性研究の新しい展開
Project/Area Number |
24540536
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
庄司 多津男 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50115581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有本 英樹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80242882)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | AC トラップ / 帯電微粒子 / クーロン相互作用 / 非線形物理 / 大域構造 / カオス / 揺らぎ / 強結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
改良されたACトラップ装置によりクーロン多体相互作用する微粒子の集団現象、構造、揺らぎ、カオスなどが系統的に調べられた。 1、大集団の微粒子に同様に(帯電した)ニッケルコーティングしたテスト微粒子を導入し、これに振動する外部磁場を印加して微粒子集団に局所的に与えた振動が伝播する様子を、微粒子の密度の時空変化から求めた。これによって強結合プラズマで理論的に予想された固体の光学モードの音波が伝わることが 初めて実験的に得られた。 2、AC閉じ込め周波数、電場強度を変化させると微粒子集団が固体状(秩序状態)の外郭と液体状のゆらぎの大きな内部構造(溶解領域)に分離する現象を昨年に引き続き、詳しく調べた。溶解領域の体積の周波数、電場強度依存性が求められ、周波数の低下に伴い溶解領域の体積が増大することが分かった。これらの結果はこれまでの計算機実験では得られないことも確かめられた。 3、微粒子の密度の数十分以上の長時間揺らぎを、レザー光の散乱強度の観測によって系統的に行い、AC閉じ込め周波数の3桁に及ぶ揺らぎのスペクトルを観測し、次のような新しい知見を得た。AC周波数を一定として、AC電圧が低く溶解領域がない状態では微粒子密度の揺らぎは微粒子群中心から外郭まで周波数の3桁にわたる1/fパワースペクトルが得られた。またAC電圧が高くなり溶解領域が現れると、溶解領域外側の秩序領域では密度揺動は1/fパワースペクトルで溶解領域に入ると中心に向かって周波数の冪乗スペクトルが見られるが、冪乗指数は-1から0に徐々に減少し、中心付近ではフラットなホワイトノイズの揺らぎとなる。また揺らぎの相関時間が溶解、秩序領域の境界で発散することも観測された。 これらは大自由度カオスの揺らぎの数少ない実験として意義深い。簡単化したモデルの計算機実験でこの揺らぎの比較検討を行い冪乗スペクトルの定性的な出現が得られた。
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