2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540540
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
白藤 立 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10235757)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | プラズマ / レーザ / 水 / 滅菌 / ラジカル / 化学反応 / 発光分光 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,液体が関与するプラズマプロセスとして,波長(1μm)を考慮するとプラズマ生成が極めて困難と考えられるEr:YAGレーザ光によるプラズマプロセスの可能性について検討した.平成24年度では,虫歯菌(ミュータンス菌)を有する歯牙をEr:YAGレーザによって切削した時に,ミュータンス菌の不活化が同時に行われていることを明らかにし,レーザ照射によって形成される気泡内にプラズマが生成されている可能性が示唆される結果を得た.平成25年度では,よう化カリウム比色法,及び4-アミノアンチピリン比色法(通称パックテスト)によって,Er:YAGレーザ照射によって水中の過酸化水素濃度が増加することを明らかにした.計画期間中にレーザ誘起プラズマ生成の十分な確証を得るまでには至らなかったが,H26年度では,こうした処理水の生成にかかる化学反応のメカニズムを明らかにするために,処理水生成の起源をプラズマであると仮定し,簡単化された液体関与プラズマの系において,水蒸気含有プラズマの気相反応シミュレーションや時間分解発光分光を行った.水蒸気が関与するプラズマにおいて放電中にOHラジカルが生成されることは良く知られている.これに対し,本研究では,外部からの励起が終了した後にも,H3O+と低電子温度化した電子の再結合によって過酸化水素の起源と考えられるOHラジカルが生成され,他のラジカルと比較して長時間の発光を維持する,という新たな知見を得た.また,放電によって得られたプラズマ処理水にもレーザの場合と同様に過酸化水素が形成されていること,その処理水により滅菌が可能であることを確認し,両者の共通性を確認した.なお,放電によるプラズマ処理水については,処理水を24時間放置すると,過酸化水素の濃度はほとんど変化しないにも関わらず,大腸菌の滅菌能力が高くなる,という特異な性質を示すことが明らかとなった.
|
Research Products
(25 results)