2013 Fiscal Year Research-status Report
ECRプラズマ中に発生する間欠的電子流束の統計的性質に関する実験研究
Project/Area Number |
24540544
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
吉村 信次 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (50311204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺坂 健一郎 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (50597127)
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Keywords | 間欠性 / ECRプラズマ / 電子流束 / 浮遊電位揺動 / 統計解析 / 2次元計測 |
Research Abstract |
本研究は,電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマに自発的に発生する高エネルギー電子流束を対象として,統計的手法と電気的・光学的2次元計測を駆使することによって,その時空間構造を解明することを目的としている.今年度はHYPER-I装置の終端フランジを全面石英窓にすることで,装置軸方向に線積分したプラズマからの発光の変化を計測した.局所的な電子温度が増加することによって,電子流束発生領域の発光のみが強くなることが予想される.ICCDカメラ前面に取り付ける干渉フィルタを交換することで,様々なラインからの発光を観測できる.ICCDカメラのトリガー信号には,ラングミュアプローブの浮遊電位を利用した.昨年度,Ne中性粒子からの585nmの発光の時間発展を計測した結果,発光強度が浮遊電位の深さと良い相関をもつことがわかっている.今年度は,Heプラズマを対象に,Heイオンからの468nmの発光およびHe中性粒子からの668nm,706nm,728nmの発光の計4ラインを計測した.Heイオンからの発光は,励起エネルギーが50eV以上とバルクの電子温度約8eVと比べ非常に高く,電子流束が高エネルギーの電子で構成されていることの間接的な証拠と考えられる.He中性粒子の3ラインは,衝突輻射モデルを用いた強度比法によく用いられているもので,同様の評価を行ったところ発光部の電子温度は周辺より高くなっているという結果となった.2本のラングミュアプローブを用いた条件付き平均化法によって電子温度の時間発展を評価したところ,間欠的電子流束発生時の実効的電子温度は発生前の3倍から4倍になっていることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は主に電気計測によって間欠的電子流束発生現象の時系列解析を行い,この現象が定常ポアソン過程で特徴づけられることを明らかにした.今年度は主に光学的計測を行うことで,電子流束の空間構造および実効的電子温度の変化を評価することができた.当初計画では今年度は導電性ガラスとグリッドを組み合わせたエネルギー分析器を製作する予定であったが,ICCDカメラを用いた2次元発光分光計測と衝突輻射モデル等を組み合わせることで,同様の結果を得ることができると考え,ICCD計測を実験の軸とした.ガス種による現象の相違についても,様々な発光ラインを計測することで対応可能だと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度,25年度の実験によって,間欠的電子流束発生現象の時間的・空間的性質がかなり明らかになってきた.平成26年度は,これまで主として計測してきたHeプラズマから,Ne,Ar,Xeといったガス種の異なるプラズマへと実験を拡大し,この現象の総合的な理解を目指す.また,方程式を用いた現象のモデル化も視野に入れて,実験・理論の両面から研究を進めていく.定常ポアソン過程の特徴をもち,持続時間が重たい粒子の質量に依存するような間欠的変化を記述するモデルの構築を最終的な目標と考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ICCDカメラを用いた計測系の改造を検討しているが,干渉フィルタ固定器具の設計等が確定していないため. 次年度使用額は,光学計測系の整備に使用する.
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