2012 Fiscal Year Research-status Report
ラマン-小角X線散乱同時測定によるイオン液体の二酸化炭素吸蔵機構の研究
Project/Area Number |
24550009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森田 剛 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (80332633)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゆらぎ / イオン液体 / 小角X線散乱 / 二酸化炭素 / チタンセル |
Research Abstract |
放射光光源による小角X線散乱と、後方散乱プローブによるラマン散乱との同時測定に用いる高圧試料ホルダーを設計製作した。本体材質には、熱膨張係数が小さく耐食性に優れたチタンとチタン合金を用いた。小角X線散乱用の窓部を設置した高圧部品は、フリーピストン型を採用し、フリーピストン間に特別に設計したチタン合金製のスペーサーを設置することで、20MPaまでの加圧過程での試料長の変化を2/100mm程度に抑え、設計値としての既定値を保つ機構を開発した。小角分解能を保ったまま、広い角度域での散乱シグナルの測定を行うため、in situ吸収係数同時測定装置の改良を行った。装置性能は、X線吸収法による密度測定での誤差で評価し、高精度に二酸化炭素を吸蔵したイオン液体の吸収係数を同時測定できることを確認した。小角散乱については、イミダゾリウム系イオン液体におけるアルキル鎖長依存に関し、20MPaまでの高圧域まで系統的にシグナルを取得した。散乱角ゼロ度のI(0)の圧力依存性を解析したところ、二酸化炭素溶解度が急激に上昇する圧力域と、鈍化する圧力域、さらに、飽和する圧力域で、明らかな傾向の違いを観測したとともに、アルキル鎖の伸長にともない、低圧域でのI(0)の増減の傾向が逆転する現象も観測された。このため、イオン液体中への二酸化炭素溶解挙動に関連し、イミダゾリウム系イオン液体の密度変化に関しても、X線吸収法による溶液密度評価を行ったが、密度の圧力依存性にはアルキル鎖の違いによる傾向の変化はなく、定性的に、溶解度飽和域までは密度減少、鈍化域で密度変化も僅かとなり、飽和域で急激に密度上昇が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗に最も影響する同時測定用高圧チタンセルが構築できており、その他、実験に必要となる吸収係数の同時測定装置の改良など、測定装置系の準備を整えることができた。さらに、各装置評価においても、いずれの装置についても良好な結果が得られている。 以上から、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に構築したチタン製高圧セル、吸収係数同時測定システムを用いて、放射光を用いたラマン-小角X線散乱の同時測定を行う。さらに、小角X線散乱では、吸蔵過程の時間依存を検討するため時間分解測定も行う。放射光施設に、極めて高いS/Nを有し、広い検出面積を有する検出器が導入されたため、非常に良好な実験条件が整ったと言える。さらに、X線プローブを用い混合状態(濃度ゆらぎ)を測定し、二酸化炭素吸蔵過程におけるイオン液体構造をゆらぎ構造の観点から解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)