2013 Fiscal Year Research-status Report
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24550011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛山 浩 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40302814)
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Keywords | 理論化学 / 触媒 / 表面反応 |
Research Abstract |
燃料電池は、その高いエネルギー変換効率を持ち、排出物として水しか出さないという環境にやさしいシステムであるといった多くのメリットを持つ一方で、経済性を含めた難しい課題が残されてるため、あまり普及していないという実態がある。その普及には、高いプロトン伝導性を持つプロトン透過膜の開発やPtをはじめとするレアメタルを使用しない電極の開発が必要であり、多くの研究がなされている。特にレアメタルを使用しない電極の開発は、コスト面や量産化に対してはカギを握る技術になり、注目度は高い。中でも、金属酸化物に窒素をドーピングした金属酸窒化物や窒素ドープした炭素材料が注目されている。本研究では、金属酸窒化物の例として窒化タンタルを取り上げた。 表面の安定性を計算で算出し、最も安定と考えられる(001)面において酸素還元反応のメカニズムを明らかにした。特に、表面における酸素ドープの影響について、考察を行った。表面に酸素原子を導入する量を変化させて反応性を議論した。その結果、きれいな表面では反応が進まないのに対し、酸素を導入した場合は反応が進むことがわかった。すなわち、表面の不純物の存在が大きく反応性を上げることを示した。さらに詳しく解析した結果、表面欠陥や酸素導入により不純物順位ができ、その不純物準位(エネルギー)が吸着する酸素のSOMOレベルと近いほど反応性が高くなることを示した。さらには、炭素と酸素のコドープにより活性が向上することが予想され、実験結果と矛盾しないことが示された。こうした結果は論文にまとめ、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電子動力学法を上述の表面吸着系に適応するため、多次元化に向けた理論とプログラムの開発へと研究を進めているが、なかなか表面吸着系に適応できまでには至っていない。こうした問題点に関して、我々は密度汎関数理論を基に、コーン-シャム軌道で電子波動関数を展開する方法を採用し、計算に必要な電子波動関数の核座標微分を数値微分で求める等の工夫で乗り切ろうと、現在研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、電子ダイナミクスの方法を開発しつつ、具体的な電極触媒反応に応用し、表面反応における電子授受について調べる予定である。はたして、表面反応の際に電子の流れはどうなっているのか、実時間の電子ダイナミクス計算から明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プログラム開発に思いのほか時間がかかったため、応用計算用のコンピュータ等の購入を遅らせた。 プログラムを早急に開発し、応用計算に入るべくマシーンの整備等を進める予定である。
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Research Products
(2 results)