2014 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
24550012
|
|---|
| Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
|---|
Principal Investigator |
中田 宗隆 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40143367)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | ルミネッセンス分光学 / 高分子劣化 / ガンマ線照射 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は，これまでは微弱なために強度しか分析あるいは研究に利用されていなかったルミネッセンス（発光）をスペクトルとして観測し，様々な現象を分子レベルで解明する「ルミネッセンス分光法」の構築を試みることである．これまでに，「フーリエ変換型微弱発光分光分析装置」を用いて，平成24年度にはゴムの発光機構と放射線劣化機構を解明して論文に発表した．平成25年度にはポリプロピレンの発光機構と放射線劣化機構を解明して論文に発表した．
平成26年度には，フッ素系高分子として最も基本的なポリテトラフルオロエチレンのガンマ線照射による劣化について詳しく研究をおこなった．試料を200℃まで加熱しても酸化劣化は起こらず，ルミネッセンススペクトルを観測することはできなかったが，ガンマ線を照射した試料では，150℃以上の温度でルミネッセンススペクトルを観測することができた．窒素雰囲気下でも乾燥空気下でも同じようなスペクトルを観測できたことから，この発光は加熱したときの酸化劣化によるものではなく，ガンマ線を照射しているときの酸化劣化によって発光種が生成され，その発光種が加熱によって発光したと考えた．また，発光強度および発光時間は温度に強く依存することがわかった．反応速度論的な解析から，発光種の前駆体は過酸化ラジカルであり，発光種は過酸化フッ素であるという劣化機構を分子レベルで解明した．以上の研究結果を二つの論文にまとめ，学術雑誌Chem. Phys. Lett.に発表した．また，韓国で開催された国際会議で研究成果を発表し，さらに，日本語による総説を日本分光学会の学会誌「分光研究」に発表した．また，スチレンブタジエンゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムのルミネッセンススペクトルを測定し，スペクトルの発光強度がゴム中に残存する二重結合の割合に依存することを見出し，学術雑誌Polym. Test. に発表した．
|
