2013 Fiscal Year Research-status Report
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24550033
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
細井 晴子 東邦大学, 理学部, 講師 (00313396)
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Keywords | 蛍光タンパク質 / マルチプレックス二光子吸収分光法 / 二光子蛍光メカニズム / 発色団モデル化合物 |
Research Abstract |
本研究では、最もイメージングに利用される変異体enhanced GFP(eGFP)について、一光子励起によって生成するS1電子励起状態の近傍に、新しい電子励起状態(S2)が存在することをさらに明確に証明するため、二光子吸収分光法を用いて以下の二つの課題に取り組んでいる。 (1) eGFP発色団モデル化合物HBDIの二光子吸収スペクトルの溶媒依存性 5種類の溶媒中におけるHBDIのニュートラル型とアニオン型の二光子吸収スペクトルを測定した。シグナル/ノイズ比を大幅に改善させることにより、二光子吸収バンドと一光子吸収バンドのエネルギー差を定量的に決定することができた。 (2) GFP とは異なる発色団構造を持つ蛍光タンパク質の電子励起状態 Cyan Fluorescent Protein (CFP)と対応する発色団モデル化合物について二光子吸収スペクトルを測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製した各試料の二光子吸収スペクトル測定が完了し、順調に進展している。 (1) eGFP発色団モデル化合物HBDIの二光子吸収スペクトルの溶媒依存性 二光子吸収バンドと一光子吸収バンドのエネルギー差を定量的に決定することができた。その結果、一光子、および二光子吸収スペクトルの吸収極大の差が、5種類の溶媒で大きく異なることが示された。この結果は、二光子励起によって生じる励起状態がS1の振動励起状態ではないことを意味している。本課題により、HBDIの二光子蛍光メカニズムについて新たな知見が得られつつある。 (2) GFP とは異なる発色団構造を持つ蛍光タンパク質の電子励起状態 CFPでは一光子及び二光子吸収スペクトルが一致しなかったのに対して、発色団モデル化合物では完全に一致した。この結果は、CFPがHBDIやeGFPとは異なる二光子蛍光メカニズムをもつことを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた実験結果を基に、蛍光タンパク質の二光子蛍光メカニズムを解明する。 (1) eGFP発色団モデル化合物HBDIの二光子吸収スペクトルの溶媒依存性 HBDIの二光子励起によって生じる励起状態はS1の振動励起状態ではないことが明らかになった。他の電子励起状態(S2)の関与を考えることで、得られた結果を説明することができる。HBDIに関する知見をeGFPに適用することで、eGFPの二光子蛍光に関与する電子励起状態を明らかにする。 (2) GFP とは異なる発色団構造を持つ蛍光タンパク質の電子励起状態 CFP発色団モデル化合物の結果から、一光子励起でも二光子励起でも生成する電子状態が同じであることが明らかになった。CFPで観測された一光子と二光子吸収スペクトルの差は、発色団周辺のアミノ酸が原因と考えられる。eGFPとは異なる二光子蛍光の起源について明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品として購入した卓上遠心機の費用が予定よりも高額だったため、消耗品の購入を控えた。 本年度の研究費は試薬や器具、光学部品などの消耗品の購入に充てる計画である。
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