2014 Fiscal Year Research-status Report
X線自由電子レーザー(XFEL)により拓かれる新しい科学に関する理論的研究
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24550034
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
今村 穣 独立行政法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 研究員 (60454063)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線自由電子レーザー / 内殻イオン化 / 内殻励起 / 多光子過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
X線自由電子レーザー(XFEL)による、(A)化学反応の追跡、(B)単分子構造解析、(C)新奇物性の発現、の実現可能性を検討するためにはXFELにより生じる電子状態を精度良く記述する必要がある。 そこで、XFELで特徴的に生成される内殻励起・内殻イオン化を高精度に記述する手法の検証を行った。波動関数理論は高精度に内殻励起・内殻イオン化を記述可能であるが、計算コストが高く、対象系が大きくなった場合は実行不可能となる。そのため、計算コストが比較的少なく、精度良く内殻励起・内殻イオン化を記述する密度汎関数理論(DFT)の手法を用いた。具体的には、DFTで用いる軌道特定(OS)汎関数において、(i)クーロン演算子を領域毎の分割、(ii)複数軌道の軌道の直線性条件(LCOE)からそれぞれの領域のHF交換項の割合の決定、のスキームを用いて、内殻励起・内殻イオン化の検証を行った。実際に一酸化炭素分子や窒素分子などの分子において数値的に検討を行ったところ、価電子励起・リドベルグ励起状態のみならず内殻励起状態も高精度に記述可能なことがわかった。また、内殻イオン化ポテンシャルエネルギーに関して高精度に記述することがわかった。高強度のXFELの多光子過程により生じる多価イオン化状態に関してもLCOEを適切に課すことで記述が可能なことがわかっている。以上により、XFELで生じる電子状態を計算する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の課題である、(A)化学反応の追跡、(B)単分子構造解析、(C)新奇物性の発現、において重要となるサンプル損傷を防ぐため、新しいパルス幅の測定手法の提案行い、XFELの制御へ向けて進捗があった。また、XFELで生じる電子状態を高精度に記述する計算手法も確立し、(A-C)の現象を検討する準備はできた。今後は、(A-C)に関する具体的な現象の検討に全力で取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
(A)化学反応の追跡、(B)単分子構造解析、(C)新奇物性の発現、の具体的な現象の検討をすすめる。そのため、理化学研究所の実験研究者と蜜に連絡を取り合い研究を速やかに遂行する。また、情報収集を図るため積極的に学会も出席する予定である。更に、検証を行うためのプログラムの整備も積極的に行う。
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Causes of Carryover |
2年前に所属が変わり、それに伴い研究計画を大きく変更した。よって研究費の使用計画も変更している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
具体的なXFELによる現象の検討を行うために、XFELの実験に関する情報収集を行う。よって、最終年度の研究費を主に国際会議・国内会議の出張旅費に充てる。また、理化学研究所の実験研究者との研究打ち合わせの旅費も計上予定である。
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