2013 Fiscal Year Research-status Report
次世代有機デバイスの構築を目指した熱・光・電子多重応答機能分子の開発
Project/Area Number |
24550037
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊東 俊司 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (10213042)
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Keywords | 合成化学 / 酸化還元系 / 電気化学 / 相転移 / 光応答機能 |
Research Abstract |
平成25年度は、前年度に引き続き多環式芳香族化合物であるヘキサベンゾコロネン骨格をコア中心にこれまでの研究成果において良好な相形成機能が明らかにされてきた長鎖アルキル基の結合したアズレン系化合物を末端基として、熱的な相転移挙動と蛍光挙動の複合機能、ならびに共役鎖を分岐型の構造をもって集積する分子設計指針に則り構築を検討してきたテトラシアノブタジエン骨格を基本単位とした酸化還元系の耐久性の向上とエレクトロクロミズム機能との多重応答機能の解明を目指して研究を進めた。その結果、昨年度長鎖アルキル基の結合したアズレン系化合物を末端基としたヘキサベンゾコロネン誘導体の構築において課題となった合成中間体の極めて低い溶解度を克服するために分岐型の長鎖のアルキル基を導入した新規アズレン系化合物の新たな合成法の確立に至った。また、テトラシアノブタジエン骨格の集積のために課題となった予想外のアニリン誘導体に導入されたアルキル基の脱離反応をジメチル誘導体化することにより克服できることを明らかにした。また、電気化学的な応答機能とナノ構造体の形成との複合機能の構築を目指した長鎖アルキル基の置換したカーボンナノチューブセグメント構築への検討を進め、いくつかの合成に有望視される環状のフェニレンアセチレン化合物ならびに環状のポリフェニレン化合物の合成に至った。さらに、酸化還元機能を担う骨格として着目した2-フェニルアズレンの6位に相転移挙動を担う長鎖アルキル基を導入した新たな2-フェニルアズレン誘導体の特異な液晶相の形成に関する詳細ならびに蛍光挙動が期待されるクマリン誘導体のベンゼン環部をアズレン環で置き換えた新たなπ共役系の構築について論文発表に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度アズレン系化合物を末端基としたヘキサベンゾコロネン誘導体の構築において課題となった溶解度の問題を分岐型の長鎖アルキル基が導入された新規アズレン系化合物の合成法の確立により克服した。また、テトラシアノブタジエン骨格の集積に課題となった予想外のアルキル基の脱離反応をジメチル誘導体化することにより克服した。さらに、6位に相転移挙動を担う長鎖アルキル基を導入した2-フェニルアズレン誘導体の特異な液晶相の形成に関する詳細ならびに蛍光挙動が期待されるクマリン誘導体のベンゼン環部をアズレン環で置き換えた新たなπ共役系の構築について論文発表に至った。以上のことから、研究課題の中間年度として、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、本研究課題の最終年度として、これまでの研究で明らかにされてきた分岐型の長鎖アルキル基の結合したアズレン系化合物を末端基としたヘキサベンゾコロネン誘導体の構築、テトラシアノブタジエン骨格の集積のための課題の解決、ならびに電気化学的な応答機能とナノ構造体の形成との複合機能の構築を示唆する長鎖アルキル基の置換したカーボンナノチューブセグメント構築へ向けた検討をさらに進め、有機発光材料としての機能、蛍光挙動の電気化学的な制御など、相転移挙動、蛍光挙動、ならびに酸化還元機能の相関についての検討を進めることで、次世代有機デバイスの構築を目指した熱・光・電子多重応答機能材料の可能性を探求して行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成研究を主体とする本研究課題の推進においては、研究期間を通して消費される実験用器具類ならびに合成用試薬に関する物品は必要不可欠なものである。特に合成用試薬については、研究の進捗状況に合わせて効率よく準備していくことが必須である。平成25年度においては、研究の進捗状況に合わせて、実験用器具類ならびに合成用試薬等の経費として当初の予算をほぼ執行した。今後も研究の進捗状況に合わせて効率よく予算を執行することで効果的に本研究課題の目的の達成に努めたい。 合成研究を主体とする本研究課題の推進においては、研究期間を通して消費される実験用器具類ならびに合成用試薬に関する経費は必要不可欠なものであり、研究の進捗状況に合わせて効率よく予算執行することが必須である。平成26年度においては、研究の最終年度として、本研究課題の目的を期間内に達成できるよう実験用器具類ならびに合成用試薬等の経費として予算を効果的に執行したい。
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Research Products
(9 results)