2012 Fiscal Year Research-status Report
新規三脚型配位子を有する反応活性金属錯体の合成とその小分子活性化への応用
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24550039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
武田 亘弘 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80304731)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 三脚型四座配位子 / チオエーテル配位子 / ホスフィン配位子 / シリル配位子 / パラジウム錯体 / 白金錯体 / 11族金属錯体 |
Research Abstract |
既に我々は新規三脚型四座配位子E(C6H4-2-YR)3 [1(EYR): E = P or Si; Y = S, Se, CH2S (mSと略), CH2Se (mSeと略); R = i-Pr, t-Bu] を合成し,これらの配位子を有する種々の遷移金属錯体の合成に成功している。 本年度は,既に合成に成功しているジメチルパラジウム錯体 [PdMe2{1(PSi-Pr)}] (2) と1当量のCH2Cl2またはCHCl3との反応により,対応するクロロメチル錯体 [PdClMe{1(PSi-Pr)}] (3) がほぼ定量的に生成することを明らかにし,ジメチルパラジウム錯体(2)の興味深い反応性を明らかにした。また,少量のH2O共存下でのジメチルパラジウム錯体2と1当量のCH3SiClとの反応ではメチルクロロパラジウム錯体3が,同様の条件下での2当量以上のCH3SiClとの反応ではジクロロパラジウム錯体 [PdCl2{1(PSi-Pr)}] (4) が得られることを明らかにした。 さらに,PS3型配位子1(PSi-Pr)の1価11族金属(Cu, Ag, Au)錯体の合成に成功し,そのX線結晶構造解析により,結晶中で,Cu(I)錯体が単核の4配位四面体構造,Ag(I)錯体が2核の2-3配位構造,Au(I)錯体が単核の2配位直線構造を有していることを明らかにした。 また,t-Bu基を有するSiS3型配位子1(SiSt-Bu)を用いて二価白金錯体[PtCl{1(SiSt-Bu)}] (4)を安定な無色結晶として合成し,その構造を明らかにした。対応するPS3型配位子と[PtCl2(cod)]との反応では,t-Bu基の脱離反応が進行して対応する白金錯体[PtCl2{1(PSt-Bu)}]が得られないことを既に明らかにしており,白金錯体4が安定な化合物として得られたことは興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジメチルパラジウム錯体 [PdMe2{1(PSi-Pr)}] (2)とN2, CO2, O2等の小分子との反応に関しては,種々の条件で検討を行っているものの,現在のところ,反応生成物の同定には至っていない。また,空配位座を有するカチオン性イリジウム(III)錯体 [IrHCl{1(SimSt-Bu)}] (5)の反応性の解明に関しては,当初イリジウム錯体5の合成に再現性がなく,研究が滞っていたが,現在は再現性よくイリジウム錯体5が合成できるようになり,錯体5の反応性を検討する準備が整ったところである。 このように,錯体2や錯体5のN2, CO2, O2等の小分子との反応に関しては,やや研究が遅れているが,ジメチルパラジウム錯体2とクロロアルカンやモノクロロシランとの反応の解明,PS3型配位子1(PSi-Pr)を有する1価11族金属(Cu, Ag, Au)錯体の合成,SiS3型配位子1(SiSt-Bu)を有する二価白金錯体[PtCl{1(SiSt-Bu)}] (4)の合成など興味深い結果も得られている。 よって,予測通りではないが,新規な知見は得られており,研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ジメチルパラジウム錯体 [PdMe2{1(PSi-Pr)}] (2)とN2, CO2, O2等の小分子との反応に関しては,今後も種々の条件での反応を検討し,反応生成物の同定を行う。また,1(PSi-Pr)以外の配位子を有するジメチルパラジウム錯体の合成を行い,その小分子との反応について検討する。 空配位座を有するカチオン性イリジウム(III)錯体 [IrHCl{1(SimSt-Bu)}] (5)の反応性の解明に関しても,N2, CO2, O2等の小分子との反応などを検討する。そして,1(SimSt-Bu)以外の配位子を有するカチオン性イリジウム(III)錯体や一価イリジウム錯体 [Ir{1(SiYR)}]の合成を行い,その小分子との反応について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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