2013 Fiscal Year Research-status Report
新規三脚型配位子を有する反応活性金属錯体の合成とその小分子活性化への応用
Project/Area Number |
24550039
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
武田 亘弘 群馬大学, 理工学研究院, 准教授 (80304731)
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Keywords | 三脚型四座配位子 / チオエーテル配位子 / ホスフィン配位子 / シリル配位子 / パラジウム錯体 / 11族金属錯体 |
Research Abstract |
既に我々は新規三脚型四座配位子E(C6H4-2-YR)3 [1(EYR): E = P, Si; Y = S, Se, CH2S; R = i-Pr, t-Bu] を合成し,これらの配位子を有する種々の遷移金属錯体の合成に成功している。 本年度は,既に合成を報告したジメチルパラジウム錯体 [PdMe2{1(PSi-Pr)}] (2)と1当量のCF3SO3H (TfOH)との反応によりカチオン性メチルパラジウム錯体 [PdMe{1(PSi-Pr)}]OTf (3)を,2当量のTfOHとの反応によりカチオン性パラジウム錯体[Pd(OTf){1(PSi-Pr)}]OTf (4)を合成し,それらの構造を明らかにした。錯体(3)(4)は高反応性であることが期待され,今後はこれらの錯体の反応性について検討する予定である。 また,前年度合成したPS3型配位子 1(PSi-Pr)を有する四配位銅錯体 [CuCl{1(PSi-Pr)}] (5), 二核銀錯体 [Ag2{1(PSi-Pr)}2(OTf)]OTf (6), [Ag2{1(PSi-Pr)}2](ClO4)2 (7), 二配位金錯体 [AuCl{1(PSi-Pr)}] (8)に加えて,二核金錯体 [Au2{1(PSi-Pr)}2](OTf)2 (9)の合成に成功した。そして,錯体(7)と錯体(9)がEt3SiHとPhCH2CH2OHとからシリルエーテルPhCH2CH2OSiEt3を合成する反応の触媒となることを明らかにした。 さらに,既に合成に成功しているSiS3型配位子 1(SiSR) (R = i-Pr, t-Bu) を有するパラジウム錯体 [PdCl{1(SiSR)}] とAgOTfとの反応によりパラジウム錯体 [Pd(OTf){1(SiSR)}]を合成した。この錯体は高い反応性を示すことが期待され,その反応性に興味が持たれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成した錯体とN2, O2, CO2等の小分子との反応に関しては,種々の条件で検討を行っているものの,現在のところ反応生成物の同定には至っておらず,やや研究が遅れている。しかし,カチオン性メチルパラジウム錯体 [PdMe{1(PSi-Pr)}]OTf (3),カチオン性パラジウム錯体[Pd(OTf){1(PSi-Pr)}]OTf (4),パラジウム錯体 [Pd(OTf){1(SiSR)}]などの高い反応性を持つと期待される錯体の合成に成功するとともに、PS3型配位子 1(PSi-Pr)を有する11族金属錯体がシリルエーテルの合成反応において触媒活性を示すことを見出している。 よって、予想通りではないが、今後の発展が期待できる新規な知見は得られており、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した錯体とN2, CO2, O2等の小分子との反応に関しては,[PdMe{1(PSi-Pr)}]OTf (3),カチオン性パラジウム錯体[Pd(OTf){1(PSi-Pr)}]OTf (4),パラジウム錯体 [Pd(OTf){1(SiSR)}]などを中心に,今後も種々の条件での反応を検討する。さらに、これらの錯体を用いた小分子の活性化以外の反応や触媒反応に関しても検討を行う。 また、パラジウム(0)錯体やイリジウム(I)錯体などの新規な活性錯体の合成とその反応性の解明についても検討を行う。
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