2012 Fiscal Year Research-status Report
カルバゾール等の複素環を高度に集積した多次元π共役系化合物の創製と物性
Project/Area Number |
24550040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 洋介 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60261864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 真一郎 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70586792)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光物性 / 複素環 / カルバゾール / π共役 / ドナー |
Research Abstract |
(1) カルバゾールの種々の位置を直接または種々のスペーサーで連結したカルバゾール二量体を系統的に合成し,その電子的,光物理的,電気化学的性質を検討した。その結果,共役系を拡張するには,連結位置としては1位または4位での連結,スペーサーとしてはビニレンが有効であることが分かった。ドナー性の向上には,3位での連結およびスペーサーとしてビニレンが有効であることが分かった。また,蛍光量子収率の向上には,2位での連結が有効であることが分かった。 (2) カルバゾールの種々の位置をチオフェンで置換した化合物を系統的に合成し,その物性を検討した。その結果,2,7位に置換すると共役系が拡張するとともに蛍光量子収率が向上し,3,6位に置換するとドナー性が向上することが明らかとなった。また,N位に置換すると蛍光が著しく消光することが分かった。さらに,チオフェンの代わりにビチオフェンを置換すると,さらに共役が拡張し,ドナー性が向上した。また,複数のカルバゾールとチオフェンを交互に連結したオリゴマーも合成し,その物性を検討したところ,連結位置と物性の相関に関して,上記と同様の傾向が認められた。 (3) 2つのN-チエニルカルバゾール部位を積層させたシクロファンを合成し,その物性を検討した。蛍光スペクトルにおいて,強度は弱いながらエキシマー蛍光が観測された。また,電気化学的測定(CV)において,積層構造をとらない比較化合物と比べて,ドナー性が向上するとともに,可逆性が向上した。 (4) カルバゾールの1,8位にエチニルカルバゾール部位を導入した数種類の非環状ホスト化合物(分子ピンセット)の合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初,大きく分けて上記に示した(1)~(4)の課題を計画していた。以下のように,いずれにおいても,当初の予定通りおおむね順調に進展している。 (1)については,カルバゾール二量体における連結位置やスペーサーの種類の違いが諸物性に及ぼす効果がおおよそ明らかとなった。 (2)については,チオフェンの置換位置の違いが諸物性に及ぼす効果がおおよそ明らかとなった。 (3)については,目的のシクロファンの合成に成功し,積層構造としたことによる物性が見出された。 (4)については,目的とする数種類の非環状ホスト化合物の合成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)カルバゾール二量体の系については,カルバゾール二量体から三量体にさらに発展させて,主にその共役系の拡張と電子供与性の向上について明らかにする。 2)カルバゾール-チオフェン系については,複数のカルバゾールやチオフェンを連結した化合物を合成し,その物性について検討する。たとえば,2つのカルバゾールがチオフェンに置換した化合物をはじめとして,複数のカルバゾールとチオフェンが交互に連結した化合物について検討する。これにより,カルバゾールとチオフェンの個数や連結位置が共役系の拡張や電子供与性に及ぼす効果について明らかにする。また,チオフェンの硫黄原子を酸化し,チオフェンの電子状態を変えることによる物性の変化を検討する。さらに,チオフェンをフランに置き換えた化合物の合成も併せて検討する。これにより,チオフェンとフランの複素環としての電子的特性の相違を明らかにする。 3)2)の発展として,カルバゾールやチオフェンを基盤とする環状化合物を合成する。その共役系や光物性,ドナー性について検討し,非環状化合物との相違を明らかにする。適当なゲスト化合物との錯形成についても検討する。 4)24年度に合成した非環状ホスト化合物とゲスト化合物との錯形成挙動について,より詳細に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は,試薬や溶媒の使用をかなり節約した結果,未使用額が生じた。 25年度は,さらに多くの化合物を合成する必要があることから,24年度の未使用額を25年度分の予算と合わせて,合成試薬や溶媒等の消耗品の購入に充てたい。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] π-Extended Thiadiazoles Fused with Thienopyrrole or Indole Moieties: Synthesis, Structures, and Properties2012
Author(s)
S.-i. Kato, T. Furuya, A. Kobayashi, M. Nitani, Y. Ie, Y. Aso, T. Yoshihara, S. Tobita, and Y. Nakamura
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Journal Title
The Journal of Organic Chemistry
Volume: 77
Pages: 7595-7606
DOI
Peer Reviewed
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