2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550042
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三治 敬信 東京工業大学, フロンティア研究機構, 特任教授 (00287484)
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Keywords | 典型元素化学 |
Research Abstract |
π共役系の側鎖または主鎖中にホウ素、ケイ素、あるいはリンを導入すると、π電子とホウ素の空のp軌道とのp-π*共役、またケイ素とのσ-πあるいはσ*-π*共役、またリンの孤立電子対とのn-π共役などの軌道間相互作用によって特異な電子状態また興味深い光物性を示す。ここで複数個の異なる典型元素をπ共役系へ導入した場合には、同一分子内にそれぞれp-π、σ-π、σ*-π*、あるいはn-π共役が存在することになる。これらの複合型交差共役系を合成し、その電子状態および吸収、発光特性について検討を目的とした。 例えば、オリゴ(p-フェニレンエチニレン)の側鎖に例えばジメシチルボリル(B)基とジフェニルホスホリル(P)基を導入した場合、母体のp-フェニレンエチニレン骨格のπ共役に対し、側鎖方向にホウ素によるp-π共役とリンによるn-π共役の異なる共役系が同一分子内に存在することになる。この特異な共役系によって分子のHOMOおよびLUMOは母体のπ共役に対して大きく変化することが期待される。またリンは多様な結合様式をとることが出来、酸化(-P(=O))や金属配位などの化学的な修飾が可能で、これに伴いその電子状態と構造が変化する。一方、母体となるπ共役系に電子供与あるいは電子吸引性基を導入するとπ共役系自体の電子状態が変化し、典型元素との軌道間相互作用も大きく摂動を受けることになる。 ホウ素、ケイ素またリンのうち異なる二種類を導入したジエチニルベンゼンと芳香族ハロゲン化物とのカップリング反応によって合成した複合共役系分子の吸収および蛍光スペクトルの光物性測定と、フッ素アニオンやルイス酸、塩基、および金属等を添加による、光物性変化とセンシング機能について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ホウ素、ケイ素あるいはリンの典型元素の導入によるパイ共役電子系の変化、また交差型モデル分子の電子状態について基礎的な知見を得る事が出来た。またフッ化物アニオン等の添加による物性変化の観測などにより、ホウ素、ケイ素あるいはリンの典型元素の特徴に基づく機能について確認した。前年度の研究スタート遅れがあり、研究全体の進捗としてはやや遅れてはいるが今年度の目標は達成したものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた知見とともに、引き続き、ホウ素、ケイ素またリンを導入したX字型元素ハイブリッド共役分子系ハイブリッド分子およびポリマーの合成を行い、これらの光物性、また、フッ素アニオンやルイス酸、塩基、あるいは金属等を添加し、X字型元素ハイブリッド共役分子の光物性変化やセンシング機能についてさらに検討する。またケイ素置換π電子系において遷移金属を用いないカップリング反応が進行する予備的知見が得られたので、これについても研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に研究代表者の移動があったこともあり、当初予定していた研究進行が遅れており、次年度使用額が生じた。 研究セットアップに時間がかかり研究達成度が遅れていることもあり、繰り越した研究費を次年度に使用し、研究進行のスピードアップを図る。研究費としては実験ガラス器具および薬品等を主に考えている。
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