2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550055
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小島 聡志 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70215242)
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Keywords | フラン / 環境調和 / 第4級不斉炭素 / 8-フェニルメンチル / βーケトエステル / フッ素化アルコール |
Research Abstract |
2-ベンジルオキシカルボニルシクロペンタノンをドナー,シス-4-オキソ-2-ペンテナールをアクセプターとする反応で,マイケル反応がアミン存在下において促進されることを既に見出しているが,アミンのない条件下で同様の反応を行ったところ,2位に第4級不斉炭素原子を置換基として有するフランが室温という穏やかな状況で形成することを見出した。このようにアルケンの幾何学の違いとわずかな反応条件の違いだけで,生成物が作りわけできる興味深い結果を得ることができた。このフラン化反応は,ヘキサフルオロイソプロピルアルコールや安息香酸のような弱い酸で加速され,強い酸では基質が分解するために進行しないことがわかった。詳細な検討の結果,アミンが存在する場合は,そのマイケル付加中間体によって,シスアルケンがトランスアルケンに容易に異性化するためにフランが形成しないことが明らかとなった。また,ドナーについては,本反応のように穏やかな条件下でもエノール化しやすいことや立体障害がないことが必要で,エノールの求核性が高いかあるいはエノールが互変異性体であるケト体と比べて不安定であることが望ましいことが示唆された。これらの条件を満たすドナーについては,このフラン化反応が汎用性のあるものであることがわかった。さらに,β-ケトエステルのアルコール部位にキラル補助基として8-フェニルメンチルアルコールを用い,フッ素化アルコールとジクロロメタンの混合溶媒中で反応を検討したところ,0℃または-20℃においてジアステレオ過剰率90%以上を複数の基質において達成することができた。また,シス-3-メチル-4-オキソ-2-ペンテナールをアクセプターとする反応では,反応性が落ちるものの同様に高いジアステレオ選択性を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的な検討で,2-ベンジルオキシカルボニルシクロペンタノンをドナー,トランス-4-オキソ-2-ペンテナールをアクセプターとするマイケル反応がアミン存在下において促進され,アミンのない条件下ではフラン形成反応が室温という穏やかな状況で進行することを見出していたが,細かい検討をすることによって,弱い酸で加速され,強い酸では基質が分解することを見出し,促進剤として何がふさわしいかを確定することができた。また,アクセプターの異性化実験を組み合わせることによって,アクセプターとしてシス体の4-オキソ-2-エナールが必要であることが明らかとなった。また,ドナー側の検討によって,どのような基質であれば反応が進行するかがわかった。初年度において,これらの結果をまとめ,速報(Chemistry Letters 2012, 1586-1587)として報告することができた。また,β-ケトエステルのアルコール部位にキラル補助基として8-フェニルメンチルアルコールを用いたところ,高いジアステレオ過剰率を達成することができ,今年度は,その成果を速報としてまとめことができた(Chemistry Letters 2014, in press)。予定していたシス-4-オキソ-2-ブテン酸エステルをアクセプターとして用いた検討やトランス-4-オキソ-2-エナールの光異性化を伴う反応の検討までは及ばなかったので,ある程度は順調であると言える物の,完全に予定通りとは言えない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の検討の結果,現在までのところ期待した通りの結果が得られているので,申請時に計画した内容でこのまま研究を推進していく予定である。即ち,(1)反応基質という観点で汎用性を広げるため,アクセプターとしてシス-4-オキソ-2-ブテン酸エステルを検討する。この検討では,生成物として天然物の部分構造として広くみられる2-フラノンが得られる。(2)光反応を用いた反応系中でのトランス-4-オキソ-2-エナールのシス体への異性化を伴うフラン化反応の検討をする。この反応が成功すれば,シス体よりも安定で合成が容易であるトランス体のアクセプターを有効に利用できることが可能となる。また,アクセプターの合成が幾何選択的でなくても良いことになる。(3)触媒不斉反応へ応用することによって,効率的な不斉反応へと展開する。(4)エナミンを求核試剤として用いたフラン化反応の検討をする。この検討が成功すれば,β―ジカルボニル以外へとドナー基質の範囲を広げることが可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付金を1年間通して使用できるように計画し,なるべく無駄遣いがないように節約しながら使用した結果,少額ながら残金が発生した。 残金が少額のため,本年度の研究計画を変更せずに残金を繰り込む。
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[Journal Article] Impact of Diradical Character on Two-Photon Absorption: Bis(acridine) Dimers Synthesized from an Allenic Precursor2013
Author(s)
Kamada, Kenji; Fuku-en, Shin-ichi; Minamide, Shu; Ohta, Koji; Kishi, Ryohei; Nakano, Masayoshi; Matsuzaki, Hiroyuki; Okamoto, Hiroshi; Higashikawa, Hiroyuki; Inoue, Katsuya; Kojima, Satoshi; Yamamoto, Yohsuke
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Journal Title
Journal of the American Chemical SOciety
Volume: 135
Pages: 232-241
DOI
Peer Reviewed
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