2013 Fiscal Year Research-status Report
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24550063
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
箕浦 真生 立教大学, 理学部, 教授 (30274046)
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Keywords | 典型元素 / 結晶構造解析 / テルル / 硫黄 |
Research Abstract |
化学結合の性質の解明の観点で、高周期16族元素(硫黄・セレン・テルル)を含むシグマ結合は、それら化合物が高反応性のため、合成上の困難さのため未解明のまま残されているものが多くある。本研究課題では、1)弱い化学結合をもつ新規高周期16族元素化合物群を合成し、シグマ結合の性質解明を行い、2)その高反応性を活用して新しい16族元素導入試薬として新しい有機16族元素化合物へと導く。また、元素デバイスの原料として必要な3)高反応性高周期16族元素化合物群を創製することを目的とし、有機典型元素材料の新しい化学へ繋げることを目標として研究を行っている。 25年度は、研究計画に基づき、イミダゾール置換基を有する互変異性可能な高反応性カルコゲノールの合成検討を開始した。テルル原子を導入した場合、容易に脱テルルを起こし自己分解性が高いことが判明し、テルル化試薬としては不安定すぎることが明らかとなった。そこで、化学結合の性質を知ることを目的としてイミダゾール骨格上に導入する新たな立体保護基の開発に着手し、速度論的に安定化を図ることとした。2つの9-トリプチシル基を両ベンジル位に有する新規芳香族置換基の合成に成功した。これらの検討と平行し、不飽和カルコゲノールの合成検討を行い、高反応性不飽和チオールとその酸化体である不飽和スルフェン酸の合成単離に成功した。これらは空気中では速やかに分解するものの、不活性雰囲気下で取り扱うことで、弱いシグマ結合を含むこれら化合物の結晶構造解析を行うことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って、高反応性テルリド類の合成に成功している。これらの反応性は極めて高いため、速度論的安定化を施すための汎用性の高い新規置換基を開発できた。また、硫黄を含む弱いシグマ結合を含む化合物群の合成と結合性質解明も順調に進行している。今後更なる検討を継続することで、研究計画と目的を達成できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに開発に成功している新規速度論的安定化置換基を用いて、弱いシグマ結合を含む化合物群の合成単離を行うとともに、弱いシグマ結合が互変異性化によりパイ結合に変化する現象について研究を行い、本申請課題をまとめ上げる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主要な高価な試薬を購入するために節約をしたことと、想定よりもやや安く購入できたため、また前年度繰り越しもあったために次年度使用額が生じました。 主に典型元素試薬とガラス器具・実験器具の調達に研究費を使用したいと考えている。
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Research Products
(5 results)