2014 Fiscal Year Annual Research Report
緑色細菌のグリセロ脂質ライブラリー:脂質の微細構造から見た光合成調節機構の解明
Project/Area Number |
24550065
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
溝口 正 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (90343665)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂質 / 光合成 / 生体分子 / 精密計測 / クロロフィル / カロテノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成調節機構の解明を脂質分子の微細な構造という観点より行った。緑色光合成生物をモデル生物とし、そのグリセロ糖脂質の構造解析を実施した。蒸発光散乱検出器をオンライン接続したLCMSを主たる構造解析ツールとして用いることで、蛍光プローブ等の標識を行うことなく、インタクトな脂質分子の高感度な構造解析を実現した。光合成細菌の生育環境を人為的に改変することで、グリセロ糖脂質の構造、組成への影響を検討した。環境因子としては温度と光に着目した(温度因子に関しては昨年度の研究で実施)。今年度は光因子に焦点を絞り研究を行った。種々の光源(近赤外、赤、緑、青色LEDやキセノン光源と各種バンドパスフィルターの組み合わせ)を用いることで、光の質(=波長)を自在に制御しつつ光合成細菌を培養することが可能となった。現在、各種光源を用いて培養した細菌のグリセロ糖脂質解析に取り組んでいる。付随的な結果として、光の質の改変は、細菌が合成する光合成色素(クロロフィルとカロテノイド)の構造と組成に大きな影響を与える事が判明した。クロロフィル色素に関しては、光の質に依存した触媒酵素活性への影響が確認され、細胞内での新規クロロフィルの発現が確認された。更に、分子生物学的手法に基づき、酸素発生を行う植物や藻類の主たるクロロフィルであるクロロフィル-aを、酸素非発生型の光合成細菌中で発現させることも試みた。結果、この発現には、糖脂質合成遺伝子の導入が必須であることが確認され、光合成における糖脂質の新たな役割を見出すことができた。
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