2013 Fiscal Year Research-status Report
置換イソベンゾフランの多成分連結法の開発と新規有機半導体材料の創製
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24550067
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
羽村 季之 関西学院大学, 理工学部, 教授 (20323785)
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Keywords | ホルミル安息香酸エステル / アリールグリニャール反応剤 / 二重求核付加反応 / ジアリールイソベンゾフラン / 多成分連結反応 / ジデヒドロイソベンゾフラン / π電子構造 / 多環式骨格 |
Research Abstract |
先に我々はオルトホルミル安息香酸エステルに対するアリールグリニャール反応剤の二重求核付加反応を鍵として、ジアリールイソベンゾフランがワンポットで合成できることを見出している。本年度は、この置換イソベンゾフラン合成法をもとに、同一分子内にベンザイン発生部位を持つイソベンゾフランの多成分連結反応を駆使した置換ポリアセンの合成を検討した。具体的には、ジブロモイソベンゾフランをベンザイン発生部位が潜在するベンザインアクセプターとして利用して適切な条件で反応を行うと、ベンザインの連続的な環付加反応によって多環式構造がワンポットで合成できることを明らかにした。また、これらの化合物を酸性条件で芳香族化させることによって対応する置換ペンタセンに誘導できることが分った。 次に、新規高反応性分子であるジデヒドロイソベンゾフランをコアとする多成分連結反応を試みた。すなわち、イソベンゾフランに対して種々の有機金属種を作用させ、ハロゲン-金属交換を鍵とするジデヒドロイソベンゾフランの発生を試みたところ、n-BuLiあるいはPhLiが発生剤として有効であることを見出した。そこで、適切な補足剤の共存下でこの反応を行うと [2+4]環付加反応によって、多環式骨格が迅速に構築できることを見出した。また、これを足掛かりとして、反応系内で順次発生させたジデヒドロイソベンゾフランをイソベンゾフラン骨格に連続的に連結させることも可能であった。この手法によって得られる生成物は、高度にπ共役系が拡張されたイソベンゾフランと見なすことができるが、その独特なπ電子構造に由来する物性や反応性にも興味が持たれる。実際、適切な条件ではいくつかの化合物について、その芳香族化によって高度にπ共役系が拡張されたπ電子系分子の合成が可能であることが分った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イソベンゾフランの新しい合成法を基盤として多環式骨格構築法の開発を展開することができた。また、新規高反応性分子であるジデヒドロイソベンゾフランの効率的発生法を見出すことができた。これらは、高度に縮環したπ電子系分子を合成する上で、有用な知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、1)イソベンゾフランをコアとする連続的環付加反応、2)ジデヒドロイソベンゾフランの効率的発生を鍵とする環付加反応、の二つの反応を見出しており、これらを基盤としてさらなる環構造の伸長と芳香族化によって、ポリアセンライブラリーの構築を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の研究の遂行において硝子器具の破損などによる新品への交換が当初想定していたものよりも少なく、計画していた硝子器具の購入を見送ったため。 実験を強力に押し進めるため、試薬の購入のために主に使用する。硝子器具の購入にも一部あてる。
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