2012 Fiscal Year Research-status Report
電荷分離型中性配位子を利用した多孔性軽金属錯体の構造多様化
Project/Area Number |
24550068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野呂 真一郎 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70373347)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多孔性金属錯体 / 吸着 / 分離 / 軽金属イオン |
Research Abstract |
金属イオンと有機配位子から構築される多孔性金属錯体は設計性と構造多様性に富んでおり、また軽量・柔らかいといった特徴を持つことから、既存多孔性材料を超える優れた分離・吸着・触媒機能を発現することが期待される。これまで、金属イオンとして結晶化の容易な重金属イオンが頻繁に用いられてきたが、重金属イオンは希少元素であるものが多く、またその重量が多孔性機能を低下させる原因となっている。そこで本研究では、不活性な電子・磁気・光学特性および合成の困難さから報告例がほとんど無い高クラーク数軽金属イオンを含んだ多孔性軽金属錯体の精密設計・合成に関する基礎研究を行った。 平成24年度は、電荷分極型中性配位子Lを用いて2種類の新規多孔性軽金属錯体を合成することに成功した。軽金属錯体1はMgイオンとLとアニオン性配位子から構築される3次元骨格を有し、1次元の細孔を有していた。細孔中には二酸化炭素が室温で高選択的に取り込まれることを確認し、二酸化炭素/メタン混合ガスから二酸化炭素のみを高選択的に吸着分離できることがわかった。軽金属錯体2はCaイオンとLとアニオン性配位子から構築される系禁則錯体1とは異なる3次元骨格を有し、1次元の細孔を有していた。細孔中には二酸化炭素が室温で高選択的に取り込まれることがわかった。これまで、中性配位子を含む多孔性軽金属錯体の合成例はほとんど無く、本研究で用いた電荷分極型中性配位子Lが多孔性軽金属錯体の構築に非常に有効であることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで中性配位子を含む多孔性軽金属錯体の合成例は1件のみであったがあ、H24年度の1年間で既に2つの多孔性軽金属錯体を合成することに成功しており、さらに優れた吸着分離特性を示すことを明らかにしたことから、本研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、Mg, Caに加えてAlを含む多孔性軽金属錯体の合成を試みる。中性配位子としてL以外の電荷分極型中性配位子を新規に設計・合成し、利用する。また、高分子構造の次元性を低下させることによって、柔軟性構造体の構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に生じた未使用額は、錯体合成のための消耗品代(試薬・器具など)、学会発表のための旅費に使用予定。
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Research Products
(2 results)