2014 Fiscal Year Annual Research Report
プルシアンブルー系ナノ結晶多層膜の陽イオンサイズ選択型電子整流効果
Project/Area Number |
24550069
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 正人 山形大学, 理学部, 教授 (50292826)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 配位高分子 / プルシアンブルー / ナノ結晶 / イオン伝導 / 電子整流 |
Outline of Annual Research Achievements |
プルシアンブルー(PB)、及び、そのNi置換類似体(Ni-PBA)ナノ結晶の表面に露出している配位不飽和場をフェロシアン酸イオンで修飾することで、水分散インクを作製した。ITOガラス基板上に、PBナノ結晶層(下層)とNi-PBA結晶層(上層)をスピンコート法で作製し、その電子整流効果について、論文投稿に向けた精密評価を実施した。電子整流に対してリーク電流が発生しない最適な塗布膜条件(アニーリング温度・膜厚)について調べた。そのアニーリング温度では、上・下層とも120~150℃が最適な温度範囲であった。膜厚についてPBナノ結晶層(下層)は、20 nm以上であれば、Ni-PBA結晶層(上層)への電子ブロッキング機能を十分に発揮できることを見出した。透過電子顕微鏡観察からPBナノ結晶個々の大きさが8 nm程度であることから、膜厚20 nmは、僅かに2~3粒子がスタックした粒子層であり、それが電子整流性を制御していることになる。その下層を走査電子顕微鏡で観察すると、ITO結晶粒子層上に、PBナノ結晶が均一かつ緻密に連結した膜(致命的なクラックやボイドを一切含まない)が形成されていた。また、原子間力顕微鏡(コンタクトモード)による強度試験において、アニーリングにより膜強度が劇的に向上することも見出した。Ni-PBA結晶層(上層)はナノからサブミクロンまで水分散インクの濃度に応じて膜厚制御が可能で、その整流電子密度は膜厚に依存して変化した。電解質イオンの依存性も明らかになった。アルカリ金属イオンで比較すると、カリウムに対して選択的に電子整流性が出現することを見出した。これは、PBナノ結晶層(下層)のカチオン選択性と類似した挙動である。
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Research Products
(9 results)