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2013 Fiscal Year Research-status Report

複合化による銅および銀一価強発光性錯体の高機能化

Research Project

Project/Area Number 24550072
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

柘植 清志  富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (60280583)

Keywords発光性配位高分子 / 発光性チオラト錯体 / 銅 / 銀 / d10 / 複合化 / エネルギー移動
Research Abstract

本研究では、強発光性の銅(I)ハロゲノ錯体、銀(I)ハロゲノ錯体に関するこれまでの研究を踏まえ、新たな銅(I)、銀(I)発光性錯体の開発に併せ、複合化による銅(I)、銀(I)錯体の高機能化を行う。具体的にはチオラト配位子を用いた新規発光性錯体の合成とこれまで得られた強発光性錯体の複合化を検討する。
本年度は、昨年度の芳香族チオラト配位子を用いた新規発光性銅錯体を合成の結果を踏まえ、新たな錯体の合成を試みた。その結果、4-フルオロベンゼンチオール、4-クロロベンゼンチオール、4-ブロモベンゼンチオールを配位子とした際に、{Cu2(S-C6H4X)2(PPh3)}骨格をビスピリジルエチレンが架橋した配位高分子が合成できることを明らかにした。この化合物は、対応するハロゲノ錯体同様、室温固体状態で750nm付近を発光極大とする発光を示す。また、ブロモベンゼンチオールを用いると、二つの4,4’-ビピリジンが配位した錯体[Cu2(S-C6H4X)2(PPh3)(bpy)2]が生成することも明らかにした。これらの化合物の発光がピリジン系配位子への電荷移動遷移由来の発光であり、対応するハロゲノ錯体同様にピリジン系配位子の選択により発光色を制御できる可能性が示された。これらは、ホスフィン、チオール、およびピリジン系配位子を持つ銅錯体の最初の例である。
複合化に関する研究としては、前年度の配位子混合型錯体の研究を踏まえ、配位子サイズの異なる混合配位子型銅(I)錯体[Cu2I2(PPh3)2(L)(1-x)(L’)x]の合成を試みた。Lとしてビスピリジルエタン、L’としてピラジン、ピペラジンを用いた所、単一錯体と発光挙動の異なる化合物が生成することが明らかになった。単結晶構造解析により、ごく少量のピラジン、ピペラジンが構造中に取り込まれ発光物性が変化している可能性が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、チオラト配位子を用いた新規発光性錯体の合成とその発光メカニズムの解明による発光性の制御、および、発光性配位高分子の発光性に及ぼす複合化の影響の解明とそれによる高機能化を目指している。
平成24年度は、チオラト錯体に関しては主に銅錯体について研究を行い、新規の複核および三核錯体を合成しこれらが発光性であることを示す事が出来た。平成25年度はこれに加えて、ホスフィン系配位子とピリジン系配位子を同時に持つ銅(I)チオラト錯体を合成することが出来た。これらの錯体に関しては、対応するハロゲノ錯体同様、ピリジン系配位子の性質が発光性に対して重要な働きをしている可能性が有ることを示せた。また、ホスフィン配位子を含まず、ピリジン系配位子のみで架橋された新規構造を持つ銅(I)チオラト配位高分子も得ることが出来た。
複合化による配位高分子の機能化に関しては、24年度に同形結晶を与えるサイズの近い配位子の組合せでは混合錯体化が可能であることを示した。25年度は架橋配位子混合型の錯体の合成をさらに進め、ビスピリジルエタンとピラジン、ピペラジンなど二倍以上大きさの異なる配位子を混合した場合も、発光性に変化が出る例を見出し、サイズの異なる錯体でも混合配位子型錯体の合成の可能性が有ることを示すことが出来た。これらの知見は、混合系構築の可能性を広げるものである。これらのことから概ね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

24年度、25年度の研究により、チオラト銅(I)錯体は室温固体状態で発光性であり、ピリジン系の配位子を導入した錯体も合成可能で室温固体状態で発光することが明らかとなった。これまでの研究でチオラト配位子を持つ銅(I)錯体は、対応するハロゲノ錯体に比べ酸化に関して不安定なことが明らかとなっているが、チオラト配位子、ホスフィン配位子の選択により、より安定な化合物の合成法を開拓する。また、本年度に得られたホスフィン系配位子、ピリジン系配位子を同時に持つ銅(I)チオラト錯体の発光は低エネルギー側のものが多いが、ピリジン系配位子を選択することにより高エネルギー側で発光する化合物の合成を試みる。さらに、25年度の研究で、ホスフィン配位子を含まず、ピリジン系配位子のみで架橋された銅(I)チオラト錯体が得られたためこの発光性についても検討を行う。
発光性金属錯体の複合化に関しては、本年度の研究を踏まえ、さらに混合配位子型錯体の合成を行い、その物性を検討する。表面修飾の可能性について検討するため、ビピリジンに加えビスピリジルエタンを配位子として用いた錯体の結晶を配位子を混合した溶液に浸漬することにより新たな性質を持つ化合物の合成を行う。また、白金錯体配位子を用いた化合物による複合系の合成と、表面修飾についても検討を行う。これらの錯体の発光スペクトルに加え発光量子収率・発光寿命の検討を行い、複合型錯体中でのエネルギー移動についてさらに検討を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度は、旅費、別刷り費として計上していた予算が予定より少額で済んだため298116円を次年度に繰り越した。
次年度に繰り越した予算は、合成および測定に必須の消耗品購入に充て、効率良く研究を進展させる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] トリトリルホスフィンを配位子とする二核および四核ハロゲノ架橋銀(I)錯体の合成と発光性2013

    • Author(s)
      小川直純, 前田佳苗, 北村洋将, 大津英揮, 柘植清志
    • Organizer
      第25回配位化合物の光化学討論会
    • Place of Presentation
      唐津ロイヤルホテル、唐津、佐賀
    • Year and Date
      20130805-20130807
  • [Presentation] Relation between structures and lowest emissive excited states of halogeno silver(I) coordination polymers bridged by 4,4′-bipyridine2013

    • Author(s)
      Kitamura, Y., Goto, S., and Tsuge, K.
    • Organizer
      20th International Symposium on the Photophysics and Photochemistry of Coordination Compounds
    • Place of Presentation
      Traverse City, Michigan USA
    • Year and Date
      20130707-20130711

URL: 

Published: 2015-05-28  

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