2013 Fiscal Year Research-status Report
中温度領域における強イオン間力反応を用いた準安定化合物合成法の開発
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24550087
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小澤 忠司 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (90450288)
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Keywords | 準安定化合物 / 低温反応 / 機能材料 / 反応メカニズム / ディインターカレーション |
Research Abstract |
具体的内容: 本研究では、アルカリ金属イオンを層間に持つ様々な層状化合物とPTFE(polytetrafluoroethylene)をアルゴン雰囲気中で反応させることによって様々な準安定化合物の合成を行い、その反応メカニズム解析と得られた化合物の特性評価を行っている。平成25年度はより様々な層状化合物とPTFEとの反応を検証した。特にアルカリ金属イオンを完全に抽出して他の化合物へと相転移させるのでなく、相転移を起きない限界までアルカリ金属イオンを抽出した化合物を反応させたPTFE量と反応温度を調整することによって合成し、それらの元素組成や物性を検証することによって、PTFEのアルカリ金属抽出能力、および酸化物以外の化合物への適応性などを明らかにした。 意義、重要性: ダイヤモンドやブルッカイトなどの熱力学的に不安定な物質(準安定化合物)群は様々な分野に応用できる機能材料の宝庫として期待されているにもかかわらず、それらの合成が困難であるために機能開発研究が十分には進んでいなかった。本研究で得られたPTFEを用いた新しい反応の知見から、これまでにはなかった独自の準安定化合物合成方法の開発を進めたことは、準安定物質に関する学術的な理解を高めるのみならず、それらの産業面へ応用できる機能を見出すために非常に重要である。また平成25年度に行った研究の結果からは、PTFEを用いた反応はこれまでディインターカレーションが困難であったair-&moisture sensitiveな化合物のディインターカレーションを可能にする方法であり、様々な機能の誘起または特性向上に用いることが出来る可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りにPTFEを用いた新しい反応を試すための試料として様々な層状化合物試料の合成を行った。それらの中でも特にK0.8(Li0.27Ti1.73)O4およびNa2Ti2Sb2OとPTFEを様々な条件下でそれぞれ反応させることによって、PTFEのアルカリ金属抽出能力のを元素組成分析等で定量的に評価したとともに、他のディインターカレーション反応では得られないようなPTFEを用いた反応の特徴(air-&moisture sensitiveな化合物への適応性)なども見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策: 平成25年度の研究に引き続き、より多くの種類の層状化合物を合成し、PTFEとの反応を検証する。PTFEとの反応によってこれまで合成が困難であった新たな化合物の創製に挑戦するとともに、PTFEとの反応により、様々な層状化合物への機能特性の誘起などに関しても検証を行う。さらに、PTFE以外のハイドロカーボンを用いた場合との反応の比較を行い、PTFEをアルカリ金属抽出能力に関する理解をさらに深める。 次年度の研究費の使用計画: これまでに物性測定装置等の高額設備の購入は完了している。よって、平成26年度はさらにさまざまな化学反応を検証するための、試薬等の消耗品の購入を予定している。また、本課外研究で得た成果の学会発表のために旅費への支出を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に予定されていた試料合成と、平成26年度に予定されていた物性測定の時間配分に変更があったために、合成実験への出費が予定されていた分の予算が前年度中に使用されなかったため。 試料合成に用いる試薬等の消耗品の購入。
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Research Products
(4 results)