2014 Fiscal Year Annual Research Report
中温度領域における強イオン間力反応を用いた準安定化合物合成法の開発
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24550087
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小澤 忠司 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (90450288)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 準安定化合物 / 低温反応 / 機能材料 / 反応メカニズム / ディインターカレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アルカリ金属イオンを含む様々な化合物とPTFE(polytetrafluoroethylene)をアルゴン雰囲気中または真空中で反応させることによって様々な準安定化合物の合成を行い、その反応メカニズム解析と得られた化合物の特性評価を行った。特にアルカリ金属イオンを完全に抽出して他の化合物へと相転移させるのでなく、相転移が起きない限界までアルカリ金属イオンを抽出した化合物を、反応させたPTFE量と反応温度を調整することによって合成し、それらの元素組成や物性を検証することによって、PTFEのアルカリ金属抽出能力を明らかにした。 ダイヤモンドやブルッカイトなどの熱力学的に不安定な物質(準安定化合物)群は様々な分野に応用できる機能材料の宝庫として期待されているにもかかわらず、それらの合成が困難であるために機能開発研究が十分には進んでいなかった。本研究で得られたPTFEを用いた新しい化学反応の知見から、これまでにはなかった独自の準安定化合物合成方法の開発を進めたことは、準安定物質に関する学術的な理解を高めるのみならず、それらの産業面へ応用できる機能を見出すためにも非常に重要である。本研究で得られたもっとも重要な成果は以下のこの反応における特徴の把握である: 1. 大気や溶媒に対して不安定な物質からもアルカリ金属イオンの抽出が可能 2. 抽出されたアルカリ金属イオンの電荷に対する物質内の電荷バランスを維持するために、O2-サイトの欠損やO2-からF-へのイオン交換がアルカリ金属イオン抽出と同時に起こる 3. アルカリ金属イオンを抽出しても、残った層状構造ユニットの構成元素の酸化が最低限に抑えられている このような特徴を全て備えた化学反応はこれまでは存在せず、今回開発された化学反応は高機能材料デザインのための新たな手法となる。
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