2012 Fiscal Year Research-status Report
生体試料のミクロスケール電気泳動分析における双極電極を利用した高感度化技法の開発
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24550090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
北川 文彦 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20362452)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分離分析 / チップ分析 |
Research Abstract |
キャピラリー電気泳動 (CE) およびマイクロチップ電気泳動 (MCE) において,分離カラム内に作製した双極電極を利用し,試料を濃縮してから電気泳動分離を行うオンライン試料濃縮技術の開発にあたり,濃縮機構の解明を目指して,pH変動ゾーンの形成に及ぼす因子について検討を行った。MCEにおいては,直線状チャネルを有するマイクロチップを作製し,白金薄膜をチャネル内に設置することで双極電極集積チップとした。蛍光試料を直線状チャネル全体に満たし,チャネル両端に正極性の電圧を30秒以上印加してから電圧の極性を反転させると,双極電極から陽極側において試料成分が濃縮され,濃縮率は300倍に達した。チャネル内のpHを測定したところ,電圧極性反転後に白金電極近傍でpHの高いゾーンが形成され,陽極へ向かって移動していく様子が観察された。このことから,極性反転後に双極電極近傍で局所的に形成されたpHの高いゾーンと泳動液との境界面において試料の泳動速度が変化し,その速度差により試料が濃縮されたものと考えられる。なお,極性を反転させずに,一定電圧を印加し続けた場合でも,電圧印加直後に高いpHゾーンが形成するが,pHの増加量は極性反転時に比べて少なく,わずかに濃縮されたゾーンがブロードなピークとして観測されるのみであったことから,極性反転が本濃縮法に不可欠な因子であることが明らかとなった。CEにおいては,キャピラリー内への双極電極作製法の検討を行った。酸化チタンナノ粒子を利用した金属の光析出について検討を行ったが,十分な金属量の析出には至っていない。そこで,金属細線ならびに金属微粒子をキャピラリー内に固定化する方法について検討した結果,CE測定が可能な双極電極固定化キャピラリーの作製に成功したことから,極性反転を利用した試料濃縮法のCEへの適用が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キャピラリーに双極電極を作製する技術の確立が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
キャピラリー内面への金属薄膜の光析出法に基づく双極電極の作製技術の開発が遅れているため,金属細線や金属微粒子の直接固定化により作製した双極電極を有するキャピラリーの利用について平行して検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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