2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体試料のミクロスケール電気泳動分析における双極電極を利用した高感度化技法の開発
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24550090
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
北川 文彦 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20362452)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分離分析 / チップ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロチップ電気泳動におけるオンライン試料濃縮技術の開発において,直線状チャネルに白金双極電極を集積したマイクロチップを作製し,チャネル全体に試料を注入して電圧極性を反転するだけで濃縮が達成されることを確認していたが,低い分析再現性が問題となっていた。そこで新規に開発した表面ポリマー修飾法である真空乾燥法の適用について検討を行った。真空乾燥法は,チャネルに対してポリビニルアルコール(PVA)のような電気浸透流(EOF)を抑制する修飾ポリマーの水溶液を充填し,そのまま10分間ほどの真空乾燥を行うだけで,耐久性に優れた修飾層を固定化できる技術であり,安定性・再現性の高いEOFが得られるだけではなく,従来法では低かった修飾の歩留まりを90%以上に向上できる点でも優れている。双極電極を固定化したチャネルにおいてPVAを真空乾燥修飾したところ,EOFの抑制ならびに極性反転に伴う濃縮を達成できることが確認されたが,濃縮率は20倍にとどまり,ピーク検出の再現性も30%程度であった。そこで,さらにEOFを抑制するため,試料と泳動液に動的修飾ポリマーとしてヒドロキシプロピルセルロース(HPMC)を添加して分析を行ったところ,ピーク検出の再現性が90%以上に向上し,標準試料としたアニオン性蛍光色素類のベースライン分離と最大で50倍の濃縮率を達成した。泳動時間の相対標準偏差も3.1~5.6%と良好であった。一方,カチオン性のローダミン類を標準試料として同様の分析を行ったところ,チャネルへのPVA修飾ならびに泳動液へのHPMCの添加を行わず,速いEOF条件下でローダミン類3種の濃縮ピークが検出された。したがって,本法により弱酸・弱塩基部位を有するアニオン種ならびにカチオン種を簡便に濃縮して分離できることが明らかとなり,質量分析検出への適用ならびにカチオン・アニオン種の一斉分析デバイスへの応用が期待される。
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