2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞内に導入した金属ナノ粒子のリアルタイム共焦点顕微観察法の開発
Project/Area Number |
24550091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤原 一彦 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10375222)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 共焦点顕微散乱観察 / 金ナノ粒子 |
Research Abstract |
細胞動態の解析には,細胞内分子をそのままの状態で解析することが肝要であり,生体内のタンパク質動態の解析には,生細胞そのままの状態でタンパク質の機能を測定することが最も望ましい.申請者はこれまでに細胞内に導入した金ナノ粒子が共焦点レーザー顕微計測により単一粒子レベルで観測可能であることを世界に先駆けて見出した.本研究の目的は, 化学機能を複合化した金ナノ粒子を細胞内への導入し,金ナノ粒子の有する局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を利用することで,細胞内に導入したナノ粒子の局在位置のリアルタイム可視化を行い,細胞のナノ物質取り込み機構解明に資する方法論の確立することである。 本年度は第一段階として、細胞内局在シグナルと呼ばれる配列を有するペプチドを金ナノ粒子表面へ化学的に結合させ,ナノ粒子の効率的な細胞内導入し,細胞内小器官への局在化を行う事を目的として実施した。 金ナノ粒子に対して特異的に結合し化学修飾可能な官能基を付与できる化合物として、メルカプトウンデカン酸のほか、CALNN (Cys-Ala-Leu-Asn-Asn)の配列を持つ5残基ペプチドを実験に用いた。これらの化合物により修飾した金ナノ粒子を調製し,その細胞導入および細胞毒性をHela細胞を用いて検討したところ,共焦点顕微画像より金ナノ粒子存在下で培養した細胞内にはナノ粒子の存在が輝点として観察された.測定波長に対する強度比より細胞内での粒子の凝集状態を検討したところ,CALNNペプチドを利用した場合には共存させる粒子濃度に依存せず,CALNNが粒子凝集を抑制していると示唆された.さらに,粒子の表面状態および存在状態が細胞毒性に対しても影響を与えていることが予想された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択事前より予備検討を行い、十分に推敲した研究計画であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質等の生理機能を保った状態でナノ粒子に結合できる,ナノ粒子の表面修飾法を開発し,さらにタンパク質の局在シグナル配列を利用することでナノ粒子の細胞内局在制御を行う。また,機能化ナノ粒子の細胞内導入に対してリアルタイム共焦点顕微観察を行い,機能化ナノ粒子の細胞内導入機構の解明を行う。この際には顕微分光測定も合わせて行うことで,顕微観察による形態学的な情報に加え,LSPRを利用した化学的考察も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまで検討した化学修飾金ナノ粒子に対してさらに細胞内局在シグナル配列を導入し細胞内でのナノ粒子の局在位置制御を行う。反応性官能基をカルボキシル基とした場合にはアミンカップリング(G.T. Hermanson, Bioconjugate Techniques 2nd ed., Academic Press (2008))を用いるが,結合するタンパク質やペプチドに応じて利用する官能基を変化させ,反応条件もまた精査を行う。ペプチドおよびタンパク質は大腸菌・酵母・無細胞タンパク質合成系等を用いることにより調製し,実験に用いる。 顕微鏡下で利用可能なCO2インキュベータ(Olympus MI-IBC)を本研究費により導入する。これによりこれまでに見出すことのできていなかった生細胞に対する機能化金ナノ粒子の細胞内への導入過程を確認することができる。
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