2012 Fiscal Year Research-status Report
短波長光を活用した次世代SPRイメージング技術の創製と単一細胞解析への応用
Project/Area Number |
24550094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 正康 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (70226554)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオセンサ / 免疫センサ / 表面プラズモン共鳴 / 計測工学 / 生物・生体工学 |
Research Abstract |
600nm以下の短波長光源でのSPRイメージングを実現するために、本年度はまず誘電率の虚数成分が小さく短波長光で使用できるSPRセンサチップの設計・作製を行った。 まず基板の接着層について、誘電率の虚数成分がクロムやチタンと比べて著しく小さい酸化インジウムスズ(ITO)に着目した。ITOを接着層として用いた金薄膜の接着性を評価したところ、クロムやチタンに比べ高い接着性が見られ、またヨウ素溶液による金薄膜除去後にも高い残存性が得られた。またITOを接着層とした金薄膜、銀薄膜を用いたSPR測定の感度を比較したところ、チタンを用いた場合と同等の感度が得られた。 一方、誘電率の虚数成分が小さく短波長光でのSPR測定に適した銀薄膜は緩衝液中では不安定で使用できない。銀の特性を維持しながら安定性を得るために銀-ビスマス合金のSPRセンサ膜としての特性を調べた。蒸留水中でのSPR曲線を測定したところシャープな吸収が見られた。また8.5ミクロン径のマイクロウェルアレイ中でグルコース水溶液を用いて感度を測定したところ、金、銀と同等もしくはそれ以上の感度が得られた。8.5ミクロン径のマイクロウェルアレイでは金薄膜ではSPR画像が不鮮明になるが銀-ビスマス合金薄膜では銀薄膜と同様にいずれのウェルも鮮明に見えた。銀-ビスマス合金薄膜は生理食塩水中に2時間浸漬してもSPRシグナルの変化は見られなかった。また金や銀と同様にチオール分子を用いることで銀-ビスマス合金薄膜上に抗体などのタンパク質を固定化することも可能であることがわかった。 以上の成果により短波長でのSPR測定に適したSPRセンサチップを作製することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していた研究計画についてはほぼ予定通り遂行できた。短波長光源でのSPRイメージングを実現するための、誘電率の虚数成分が小さいSPRセンサチップの設計・作製についてはほぼ満足できる成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に進展しており、今後もほぼ研究計画通りに推進していく。具体的には、光源波長の違いがSPRイメージングに与える影響について実験とシミュレーションの両面から推進し、その成果をもとに新しいセンサチップの開発や新しいSPRイメージング法について検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の使用実績に残額が生じたのは多波長光源として、当初導入を予定していた装置に替えて波長が自由に選べて後から追加もできる高輝度LED光源に変更したことによる。シミュレーションから光源波長の最適値を充分に絞りきれなかったため当初予定していた3波長(導入後の変更不可)では対応できず、異なる波長の光源を追加できる高輝度LED光源に変更したためである。また光源のみでなく光ファイバーなど光学系全体を見直さないと鮮明なSPR画像を得ることは難しいことがわかった。平成25年度は残額を利用して異なる波長の光源を追加すると共に、光ファイバーの開口数を増大させるなど光学系全体の改良を図る。併せて当初予定していた平成25年度経費により当初の研究計画も推進する。
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Research Products
(8 results)