2013 Fiscal Year Research-status Report
多元選択性を有する電気化学-光ファイバーセンサーの開発と応用の探索
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24550095
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
倉光 英樹 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (70397165)
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Keywords | 分光電気化学 / 光ファイバー / ATRシグナル / メチレンブルー |
Research Abstract |
光ファイバー表面のエバネッセント波を利用した分光電気化学測定法の確立を試みた。光ファイバーのクラッド部分を取り除き、コアをむき出しにした部分に、金メッシュを被覆することで、作用電極として機能する光ファイバーセンサを作成した。光ファイバーセンサの性能評価には、メチレンブルーとフェロシアン化カリウムを用いた。分光電気化学測定には、作用電極となる光ファイバーと対電極、参照電極を挿入可能なガラス製のフローセルを自作して使用した。酸化還元電位を印加した際に得られる透過率の変化を測定した。この実験系におけるメチレンブルーの透過率変調は、10-7 Mから10-4 Mの濃度で直線的な相関関係が得られ、酸化還元反応により生じるメチレンブルーの光吸収変化を連続的に測定する事が可能であった。定電位を60秒間印加することで、定量に十分な透過率の電気化学反応による変調が得られた。同条件でフェロシアン化カリウムの分光電気化学測定を行ったところ、0.5 Vの電位を60秒間保持する事により、金電極での酸化反応によって生成するフェリシアン化カリウムの応答を1mM~0.1 Mの濃度範囲で検出できた。しかしながら、フェロシアン化カリウムの様なモル吸光係数の低い物質については、検出感度の改善という課題が残った。今後は感度改善のため、対象物質をコア部表面へ濃縮可能な自己集積化分子膜による方法や、シランカップリング剤を用いたコア表面の電荷を制御する方法を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発を試みている新規センサーは,光ファイバー表面における電気化学的酸化・還元反応から生じる、透過率の変調(分光電気化学的シグナル)から分析対象物質をセンシングすることを原理とする。 メチレンブルーやフェロシアン化カリウムから光ファイバーセンサによる分光電気化学的シグナルを得ることに成功しており、測定感度に課題が残るものの概ね満足できる成果であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した研究計画に基づき,本年度は,センサーの母体となる光ファイバーの表面に、機能化させた金コロイド粒子の自己集積膜などをコーティングし、本研究で開発した センサの感度向上と、アプリケーションの検討を行う。また、フェロシアン化物イオンの遠隔モニタリングは、本国でも現実的に極めて必要とさている技術であるため、米国ハンフォード・サイトにおける放射性物質廃棄タンクの水質をモデルに、本センサーの有効性を評価する。
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