2013 Fiscal Year Research-status Report
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24550096
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宮部 寛志 立教大学, 理学部, 教授 (10281015)
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Keywords | 分子間相互作用 / クロマトグラフィー / 光学異性体 |
Research Abstract |
昨年度の実験系とは異なる光学異性体分離系として、多糖(アミロース)誘導体コーティング型キラル分離カラムとn-ヘキサン/エタノール混合溶媒を用いるクロマト分離系を取り上げ、この実験系における2-ナフチルアミン(R体)のクロマトグラフィー挙動を解析した。その結果に基づき、アミロース誘導体―2-ナフチルアミン(R体)間の分子間相互作用を解析した。 解析に関連する各種パラメータを測定した。(1)飽和吸着量:移動相溶媒に試料物質を溶解して各種濃度の試料溶液を調製し、それを光学異性体分離カラムに連続的に注入して測定した破過曲線を解析して吸着等温線を求めた。(2)分子拡散係数:非多孔性シリカゲルカラムを用いるピークパーキング法により、移動相溶媒中における試料物質の分子拡散係数を求めた。(3)表面拡散係数:先ず、試料物質としてトルエンを光学異性体分離カラムに注入するピークパーキング法により、カラム内移動相部分における軸方向移動に関する障害因子を求めた。次に、2-ナフチルアミンのピークパーキング実験データを測定し、上記の障害因子を補正して固定相表面における試料物質の表面拡散係数を求めた。 パルス応答実験により、試料物質の理論段高の移動相流速依存性を調べた。先に求めた各種関連パラメータ情報に基づいて理論段高の移動相流速依存性をモーメント解析し、アミロース誘導体と2-ナフチルアミンとの間の相互作用に関する平衡パラメータ(会合平衡定数)及び速度パラメータ(会合速度定数と解離速度定数)を定量的に求めた。 本研究で開発・提案するモーメント解析法が機能性リガンド-分離対象成分間の分子間相互作用を定量的に解析する上で有用であることを実験データに基づき確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画していた検討項目を実施したことから、研究計画はおおむね順調に進展していると評価する。 すなわち、本研究で開発した新規モーメント解析法を一年目とは異なる実験系に対して適用し、分子間相互作用に関する目的の化学情報(会合平衡定数、会合速度定数及び解離速度定数)を定量的に求めて、モーメント解析法の有用性を実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には当初の計画通り、クロマトグラフィーによる光学活性リガンドと光学異性体分子との間の分子間相互作用に関する実験的解析を温度条件を変えて行い、会合平衡定数、会合速度定数及び解離速度定数を定量的に求める。各々の温度依存性をvan’t Hoff式及びArrhenius式を用いて解析し、分子間相互作用の平衡及び速度論的特性に関する熱力学的情報を得る。光学異性体分離系の分子間相互作用に関する熱力学的解析を行う上で本モーメント解析法が有用であることを実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、実験研究は予定通り実施したものの、学内業務(所属学科の学科長業務)の関係で当初予定した研究成果発表が行えなかった。 平成26年度の直接経費の費目としては消耗品と旅費を計画しているので、これらの研究費に基づき実験研究を予定通り進めると共に、学会等で研究成果を発表する。
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Research Products
(1 results)