2012 Fiscal Year Research-status Report
触媒反応を利用する有害元素の高感度オンサイト測定法の開発と実用化
Project/Area Number |
24550099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川久保 進 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (90143958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 保任 山梨大学, 医学工学総合研究部, 講師 (20262644)
植田 郁生 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50598688)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境分析 / オンサイト分析 / 反応速度法 / 触媒反応 |
Research Abstract |
本研究は、分析成分の触媒作用を利用する高感度オンサイト計測法の開発とその実用化を目的とする。本年度は、水銀の高感度比色定量法の開発を目指した。 1.反応条件の最適化 本水銀定量法は、水銀を触媒とするヘキサシアノ鉄(II)酸イオンのシアン化物イオンとを水分子と置換反応(第1段反応)と、解離した鉄(II)イオンを触媒として進むN,N-ジメチルアニリン(DMA)と3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)の酸化カップリング発色反応(第2段反応)を利用し、一定反応時間後の吸光度を測定する。第1段、第2段反応の反応時間をそれぞれ10分間、5分間とし、感度が良くブランク値が小さい条件を求めた。最適条件で水銀の検量線は40 ng/lまで直線性があった。検出限界は2 ng/mlで、排出基準5 ng/mlの監視に応用できる濃度であった。 2.妨害成分の除去 鉄イオンや塩化物イオンは、定量を妨害し、除く必要であった。本法では、オンサイト計測を考慮してコンウェイ微量拡散法による水銀の気化分離を検討した。微量拡散容器の発生室で試料に塩化スズ(II)溶液を加えて水銀を気化させ、過マンガン酸塩溶液に吸収させた。亜硝酸塩で過マンガン酸イオンを分解し、前記の触媒反応を利用して水銀を定量した。発生室にろ紙を敷いて溶液を染み込ませ、溶液の表面積を大きくすることによって、50℃、20分間の分離で100%の水銀が回収できた。しかし、河川水試料に添加した水銀の回収率は悪く、気化できない水銀化合物が生成する可能性があった。また、分離しても塩化物イオンの許容量0.5 mg/lで試料を希釈しないと影響が現れた。回収率が100%を超えるときがあった。前者については、有機水銀の分解に効果的との報告があった鉄(III)イオンを加えた結果、十分な回収率が得られるようになった。後者については塩化物イオンの分離を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水銀の高感度比色定量法については、塩化物イオンの影響の除去を残し、実施計画通りに進み、平成25年度に水銀の高感度比色定量法を確立する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
水銀の高感度比色定量法は、塩化物イオンの影響の除去法を開発すれば完成し、その後、平成25年度実施計画通りに分析操作と分析装置をオンサイト計測に適したものにする。他方、塩化物イオンの影響が除けない場合は、鉛やシアン化物イオンなどの高感度比色定量法の開発も視野に入れて研究を進め、平成26年度にはいずれかのオンサイト分析法で実際試料に応用できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)