2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550104
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
真木 俊英 長崎大学, 産学官連携戦略本部, 准教授 (10291535)
|
Keywords | LDI-MS / 光開裂 / 質量分析 / イオン化 / 分子標識剤 |
Research Abstract |
我々がこれまでに開発している開裂性の質量分析用分子標識剤を用いて、各種の誘導体を合成を試みた。クラウンエーテル型誘導体、テトラエチレン四酢酸(EDTA)誘導化など、様々なアプローチを試みた結果、最も効率的なルートとして、エチレンジアミン架橋により、EDTAユニットの導入により、目的とするイオン補足部位を有する光開裂性分子標識剤の合成に成功した。しかし、得られた分子種は、誘導か前の分子種と比較して、著しくイオン化能率が低下することが判明した。諸条件下におけるレーザー脱離イオン化質量分析(LDI-MS)による計測を行った結果、我々は、イオン化能率低下の原因を、分子種の極性の増大と、カルボキシル基による発生したイオンへの緩衝作用に依るものと推定した。 分子内のイオン種が、質量分析におけるイオン化過程に影響を及ぼす可能性が強く示唆さらたことから、我々は、イオン補足部位として中性で疎水性の高い、テトラフェニルポルフィリン(TPP)をイオン認識ユニットとして導入することを計画した。既存の合成法を参考にして、TPPをモノアミノ体へと誘導することにより、容易に光開裂性分子の導入に成功した。 得られた化合物は、LDI-MSにおいて、良好な応答を示すことを確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的として分子が計画した方法で容易に合成することができない。合成した分子が期待した機能を示さないなどの、達成を妨げる因子には遭遇したが、研究においては想定内の事態である。 実験結果により、光開裂プロセスを経るイオン化の過程の一端を明らかにすることができた。そして、課題を克服するための新しいアプローチを提案して、新しい、誘導化分子を合成することに成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
新しく合成した分子を用いて、様々な条件下でのレーザー脱離イオン化質量分析(LDI-MS)を実施し、誘導化条件の最適化を行う。 次いで、イオン化現象の本質を解明するとともに、認識したイオンの種類と対イオンの影響などを明らかにする。 最終的に、LDI-MSによる標的イオンの効率的な検出等を行える一般性の高い手法への情報を得る。研究目的達成を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成用試薬の予期せぬ納期遅れにより、次年度での支払が生じた。 試薬の僅かな遅れが、合成計画に及ぼす実質的な影響は無く、ほぼ計画通りに進行している。
|
Research Products
(1 results)