2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24550104
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
真木 俊英 長崎大学, 産学官連携戦略本部, 准教授 (10291535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光開裂性分子 / 標識剤 / 質量分析 / LDI-MS / イオン化 / 選択的検出 / 低分子化合物 / 錯形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命現象を制御する微量な低分子量成分を質量分析により検出するための分子ツールを開発することを目的として研究を行った。 再現性良く高感度で質量分析を行うためには、効率的にイオン化する分子ツールが必要である。安定したイオン化機構が得られれば、分子により分子を識別し、選択的な検出が可能になる。光開裂により質量分析可能なイオンを発生する分子と分子認識を行う分子を用いて、標的分子を選択的に捕捉・検出する方法についての研究を行った。 四酢酸エチレンジアミン誘導体、およびポリアミンに光開裂性分子を導入した新しい分子認識型光開裂性イオン化プローブの合成に成功した。 次いで、合成したプローブ分子を用いて、様々な条件下においてレーザーイオン化による質量分析を行い、分子プロ―ブとしての性能を評価した。その結果、標的分子を捕捉したと思われるシグナルが観察されるものの、分子認識部位および標的分子の構造が、最終的なイオン化効率に、概ね抑制的な影響を及ぼすことが明らかになった。各誘導体から得られた質量分析の結果を総合的に解析することにより、イオン性官能基による緩衝作用が主たる原因あることを示唆する結果を得た。 これらの結果により、分子認識部位と光開裂性分子の組み合わせにより、標的を検出する試みは、原理的に可能であることが示された。しかし、目的とする検出感度には至らず、同時に分子認識とイオン化過程を分離して線型的条件として考慮することは妥当では無いことが判明した。これまでの光開裂性イオン化プローブは、低分子化することにより効率化を達成してきた。今後は、より効率的にレーザーからのエネルギーを受ける分子システムとしての開発が必要であることが示唆された。
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