2014 Fiscal Year Annual Research Report
標的タンパク質との複合体におけるリガンド分子結合部位の高精度特異的検出法の開発
Project/Area Number |
24550108
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
田代 充 明星大学, 理工学部, 教授 (40315750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 悦郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (10130303)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子間相互作用 / 核磁気共鳴 / リガンド / レセプター / 選択的検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
ここ数年、核磁気共鳴(NMR)法の薬剤スクリーニングへの応用が試みられており、新規なスクリーニング法として注目されている。NMR用の試料溶液としては100% D2Oが測定しやすいが、溶媒置換の操作が不可避となり、貴重な試料を損失することもある。本研究では、軽水溶液(95% H2O+5% D2O)としても測定可能であり、ターゲットであるレセプター分子との結合に寄与するリガンドの部位を、精確に特定できる高感度なNMR測定法の開発を行った。具体的には、ここ数年主流となっているSaturation Transfer Difference (STD)法およびWater-LOGSY法をベースに、水シグナル選択励起パルスおよび水シグナル消去のためのパルステクニックの検討を行い、水シグナル近傍のリガンドシグナルの検出を可能にした。水シグナル消去の際、WATERGATE W5シーケンス、Z-filter、WETシーケンスの組み合わせにより、効果的に選択的水シグナルの消去を行うことができた。 モデル複合体として、ヒト血清アルブミン-イブプロフェン、ヒト血清アルブミン-ジフルニサルを使用し、新規パルスの性能を確認した。更に、N-アセチルスクロサミン-インベルターゼ複合体の解析も行った。この複合体では、分子間相互作用が弱く、等温滴定カロリーメトリーでは結合が確認できなかった。1H NMRスペクトルより、スクロースの加水分解がN-アセチルスクロサミンの添加により抑制されたことを確認し、次に、STD法により、低感度ながらも酵素であるインベルターゼに結合に関与するN-アセチルスクロサミンのシグナルを検出した。この結果は、NMR法が他の分析機器と比較しても、レセプター‐リガンド結合の検出に有効な方法であることを明確に示した。
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