2013 Fiscal Year Research-status Report
植物体表面における物質輸送のビーム偏向・蛍光・吸光度リアルタイム計測法の開発
Project/Area Number |
24550109
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
呉 行正 福岡工業大学, 工学部, 教授 (70234961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 智美 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (80435578)
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Keywords | 水生植物 / 物質輸送 / 酸素 / 偏向 / 蛍光 / 吸光度 |
Research Abstract |
1.植物体表面における生理的物質の輸送のビーム偏向・蛍光・吸光度測定系の改良 平成24年度作成したビーム偏向・蛍光・吸光度測定系は実際の測定過程で、レーザー光源自体の強度変化に起因する変動があることを明らかにし、それを補正するために、光路にハーフミラーを導入し、反射光強度をフォトダイオードでモニタリングできるように改良した。一方、蛍光信号のバックグランドに変動があり、その原因の解明及び解決を行っている。 2.水生植物の光合成・呼吸過程におけるO2輸送の選択的測定 培養液に10-5M程度のルテニウム錯体を添加し、その蛍光消光をモニタリングすることにより、水生植物Egeria Densa表面近傍のO2濃度の時間変化をモニタリングした。それと同時に、Egeria Densa表面近傍のすべての物質輸送を反映する偏向信号もモニタリングした。結果として、光合成・呼吸過程で水生植物Egeria Densa表面近傍の物質輸送過程をモニタリングし、さらにO2濃度変化に由来する蛍光強度の変化もモニタリングした。 3.ビーム偏向法と吸光光度法との併用による酸性雨の植物への影響の検討:水生植物Egeria DensaとCerastium demersumをモデル植物として用い、まず、異なるpHの塩酸溶液の影響を検討した。結果として、植物から溶出された物質の吸光度の時間変化は植物近傍を通過するプローブ光の偏向信号の時間変化より、一定時間遅れているが、その動的な過程は似ていた。また、塩酸水溶液のモデル植物への損傷敷値はそれぞれpH3.0~4.0とpH4.0~5.0であることを推測できた。さらに福岡で降っている雨のモデル植物への影響を検討した。結果として雨水に浸したモデル植物から何らかの成分を溶出していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製した測定系に色々な問題が出てきて、改良しながら進めているが、概ね当初計画した実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、測定系を試作したメーカーと連携しながら、測定系の蛍光バックグランドの変動原因を究明し、さらに改善していく。次に、当初予定している植物体表面の生理的物質輸送過程の環境ストレスによる変化を明らかにし、本測定系の有用性および応用性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部の試薬代金は科研費で支払うつもりだったが、事務上のミスでその他の予算から支払われたため。 ほぼ計画通りに実行していく。具体的には、今年度の直接経費と上記残額は主に試薬などの消耗品の購入および学会発表の旅費に使う計画である。
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