2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子の分子構造解析のための溶液X線散乱クロマトグラフィー法の評価・開発研究
Project/Area Number |
24550111
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
渡邊 康 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品バイオテクノロジー研究領域, 上席研究員 (30353957)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 食品関連生体高分子 / クロマトグラフィー / 分離直後の溶液構造物性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶媒や処理条件に依存した生体高分子の多様な構造体を、分離と同時に構造評価する手法の開発が望まれている。本研究では、生体高分子をクロマトグラフィーで分離しオンライン接続した溶液X線散乱測定装置により、溶出分子のサイズ、分子量および分子構造を同時計測する溶液X線散乱クロマトグラフィー法について、生体高分子の分離直後の分子構造解析における新たな有効性の検証に焦点を絞り、食品加工や食品開発など生体高分子関連製造現場への普及展開を見据えた基盤研究を行った。 本年度は、前年度に準備を開始したイオン交換クロマトグラフィーモードの溶液X線散乱クロマトグラフィー法への適用について評価した。具体的には、試料として水溶性食品タンパク質である卵白リゾチームを使用し、イオン交換クロマトグラフィーの溶出分子のサイズと分子量を評価することが可能かを検討した。その結果、溶液散乱データの取得は充分に可能であることを見いだした。しかしながら、サイズ評価の予備的知見を得ることができたものの、その詳細を精査する必要があることがわかった。つまり、散乱角度ゼロ外挿強度値の評価からの分子量計算における溶出試料濃度の定量性などを再検討する必要があることがわかった。さらに、未開拓であった連続測定システムの構築の可能性の有無を検討した。これまで主として使用していた放射光散乱測定装置の測定システムの変更にともない、より高性能な散乱検出器の利用が可能となることになり、これまで使用してきた一次元検出器で見いだしてきた知見から、新測定システムに適応した自動測定システムの開発が重要であることが明らかとなった。これまでの成果から、溶液X線散乱クロマトグラフィー法の分離直後の分子構造解析における有効性を示すことができ、本手法の他分野への技術普及が十分に期待できる。
|