2012 Fiscal Year Research-status Report
汎用有機金属反応剤を用いる触媒的不斉付加反応の開発
Project/Area Number |
24550118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (30135628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠川 隆博 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70300720)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不斉触媒 / 不斉合成 / 合成化学 / 不斉付加反応 |
Research Abstract |
アリールリチウム反応剤の触媒的不斉付加: 有機リチウム反応剤をテトライソプロポキシチタンと処理してリチウムチタナートに変換して反応に用いても、高いエナンチオ選択性は得られなかったが、クロロトリイソプロポキシチタンと処理して有機チタン反応剤に変換することでこの問題が解決できることが解った。この知見に基づき、安価で入手容易な臭化アリールとアルデヒドを原料とする第二級アルコールの触媒的不斉合成法の開発に成功した。BuLiによるBr/Li交換、クロロトリイソプロポキシチタンによるアリールチタン反応剤の調製及びDPP-H8-BINOL-チタン触媒によるアルデヒドへの不斉付加を連続的に実施することにより、1 mol% 以下の触媒量で、多様な光学活性体ジアリールメタノールを高エナンチオ選択的に合成することができた。 ハロゲン化有機亜鉛反応剤の触媒的不斉付加: 対応する臭化物をLiCl共存下で亜鉛末と処理することで、様々な反応性官能基を分子内に持つハロゲン化アルキル亜鉛反応剤が簡便かつ効率的に調製できる。これをテトライソプロポキシチタンと混合してアルデヒドへの不斉付加反応に用いたが良好な結果は得られなかった。各種の金属塩の添加効果を検討した結果、ハロゲン化アルキル亜鉛反応剤にテトライソプロポキシチタン及び臭化マグネシウムを添加した混合有機金属反応剤が、DPP-H8-BINOL-チタン触媒(5 mol %)共存下で芳香族アルデヒド及び不飽和アルデヒドに高エナンチオ選択的に付加し、対応する多官能性工学活性体第二級アルコールを高収率で与えることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アリールリチウム反応剤の触媒的不斉付加及びハロゲン化有機亜鉛反応剤の触媒的不斉付加に関しては、当初の研究計画が概ね達成され、それぞれの研究成果を論文発表することができた。官能基化アルケニルホウ素反応剤の触媒的不斉付加に関しては、反応効率の面で改善の余地はあるものの多様な官能基に適用可能な不斉付加の反応条件がほぼ確立でき、近々に論文発表の予定であるが、反応効率の改善を目指し更に反応条件の探査が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
官能基化アルケニルホウ素反応剤の触媒的不斉付加に関しては、反応効率の改善を目指し反応条件の探査が継続する予定である。リチオ化で調製したリチオジチアン、フェニルチオメチルリチウム、リチオアセト二トリルなどの準安定有機リチウム反応剤のアルデヒドへの触媒的不斉付加を実現するためには、これまで良好な結果を与えたDPP-H8-BINOL配位子の改良が必要と考えられる。この課題を克服すべく、不斉配位子の徹底的なスクリーニングを検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画実施のために、薬品及びガラス器具の購入に使用する。また研究成果公表のための出張旅費及び論文投稿料としても使用する計画である。
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